でこぱち姫とぽっちゃり王子
逃げたはいいけど、
ピロティーに逃げてきてしまった。
いつも放課後は賑わってるけど、
今日は人気がない。
きっと、みんな準備してるんだ…。
よかった、人少なくて。
ぽた。ぽたっ。
また涙出てきた。
「うぅ…。ぐす、…。」
そうだ。
ここでいっぱい泣いとこう。
『野々さん!』
皇太くん?
「なん、で…。ここに…ぐす…。」
『野々さん泣いてる?』
「な!いて…なん…か…。」
…ぎゅ。
目の前がにじんで良く見えない。
前が暖かくて…
なんだかクッションみたいで…
もしかしなくても抱きしめられて…る!?
「!?こ、皇太くん!?」
『泣くことなんてないのに、ただの劇だよ。
大丈夫だから。』
なんか、更に涙が出てきた。
そんな優しい言葉、
私にはもったいないよ。
ーー・・・
『落ち着いた?』
「…うん、ごめん。ありがとう。」
『目、腫れないといいね。
だいぶ泣いちゃったみたいだから。』
ある分の涙全部出した気がする。
そのせいで、皇太くんの服がびちょびちょになってしまった…。
「本当にごめんね。その服…」
『気にしてないよ。それより、はい。
ジュースだけど、ちょうど目冷やせるんじゃない?』
「あ、ありがとう。」
なにがなんでも、優しすぎるよ。
ちょっと、私も抱きしめたくなった。