でこぱち姫とぽっちゃり王子

ーーー・・・

「…つまり、
裕哉くんは遊び人王子様なの!」

は、はぁ。
どうりであんなことに慣れてるわけだ。

「全く…危ないと思ったら、あれだもん。
音葉も気をつけてよね!」

だからって、
わざわざみんなから居場所聞いて、
あの場から連れ去るあんたらの方が
よっぽど怖いけどね。


「…気をつけまふ。」


ーー・・・


それからは順調に準備も進み、
残すは…キスシーンのみとなり…。


『白雪姫…。目を覚ましてくれ。』

「いいよー!
その調子!そのまま…。」

ふぃっ。

「カット!
音葉!なんで顔背けるの!」


そんなの無理だろ!
いくら演技でも、この前の思い出して
顔が真っ赤になっちゃうんだよ!!

それに…

「もっとリラックスしなよ。」

まして、キラキラな顔面が近くにあるのは、
厳しすぎるってば!

「もー今日はこれで終わり!
音葉は練習しなよね!」

ううー…。
無理なもんは無理なんだってば。

練習も何も…。

「野々さん。
ちょっと来て!」

裕哉くん!
またこの展開ですか!?

「ま、待ってよ!
私にも慣れって言うのがあって…。」

「この前のが引っ張ってるのならごめん。
ちょっとからかいたいって思っちゃって。
…だから一緒に練習して、慣れてくれると
嬉しい。」


裕哉くん…。

「…こっちこそごめん。
迷惑ばっかかけて、だから、
一緒に練習して下さい!」

「…っはは。
やっぱり野々さん面白い。
いいよ、一緒にやろう。」

なんだ。
やっぱり裕哉くんいい人じゃん。

ーー・・・

「…ちっ、」
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