オプファー・シュピール~生け贄ゲーム~

従姉妹の家で話した事

――あのメールが届いてから、2週間。

日付が過ぎていけばいくほど、クラスは通常通りに戻っていった。
唯一変わった事と言えば、滝本達・・・及び彼女に協力したフリの友達からのいじめが無くなったこと。

きっと自分が贄になるのが嫌だからいじめなくなったとかそういう類だろうれけど、またあんな事をされるよりはマシだ。
それに今ごろそんなことをしたって、あたしは滝本を贄に選ぶつもり。
ただ問題は・・・。

「しーらーかーわー?」

げ、この声は・・・・・・。
恐る恐る声のした方に顔を向けると、数学教師のいっちーが居た。
今は数学の授業中。
だけれどずっと考え事をしていたあたしは問題を解くどころかノートすら取ってない状態。
威圧感たっぷりのいっちーと、顔をあげたあたしはずっと見つめあうまま。


内心で戸惑っているあたしをよそに他の生徒は口々に何か囁きあっていて、女子達は時々キャーキャーなってる。・・・内容はなんとなく想像がついたから何も会話は聞かなかったけれど。

そうしているうちにいっちーは「はい、三分経過。これでちょっとは俺にも不幸が舞い降りること間違いなしだな!」と笑いながら去っていった。

同時に女子達も「なんだ~、つまんない」ってオーラを出しながら自分のノートに向き合う。
隣の席にいる男子なんかは「怒られないなんてラッキーだったな」なんて言ってるし。
いっちーは怒ると怖いって話で有名だから、彼の言ったことには共感できる気がする。

・・・それにしても、いっちーの言った言葉が気になる。
確かに以前『あたしと三分以上目が合うと不幸になる』って噂を滝本達に流されたけれど、あれは今年の5月辺りの事。

一方、今は夏休みも終わって9月の中旬。
いっちーって記憶力いいんだなぁ・・・なんてどうでもいいことを思っているうちに、授業終了のチャイムが鳴った。
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