鍵と世界
ガデスは心配無いという風な顔で言った。


「問題無い。もう一つの世界とは言っても、向こうの世界に人類は存在しないし、私達の世界の人々には何の影響も無い。」


僕は引き続き質問した。
「何故、そんな事が分かるんですか？」


「簡単な事だ。我が委員会のデータベースには８００年前の世界融合のデータもある。だから全ての事が分かるのだよ。」
ガデスはあっさりと答えた。

僕は溜め息をつきながらガデスに聞いた。

「大体分かりました。
でも、その世界を隔てる壁ってどこにあるんですか？」


「それについてはもう少し時間をくれたまえ。
壁はともかく、鍵の位置は毎回変わるんでな。
そうだな…あと一週間はくれないか？分かり次第こちらから君へ連絡しよう。
ではアル君にはその時までゆっくりしていてもらおう。
帰りはスインに案内させよう。
私も少々疲れたので失礼するよ。
スインが来るまで、もう少しそこで待っていてくれたまえ。」


ガデスはこちらが口を挟む余地が無い程一息に喋った。

「ええ、分かりました。」

僕は内心穏やかではなかったが、表情・声にはそれを出さないようにして返事をした。

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