鍵と世界
「ハクア君!?」

僕とミルカは慌ててハクアに駆け寄り、そして僕はハクアを抱き留めた。

「おい!ハクア、しっかりしろ!!」

僕の呼び掛けにハクアは僅かだが反応した。
小さい…ホントに小さな声で何か言っているみたいだ。


「…アル、ごめんね…。僕が強ければ、君を危険な目に合わせる事は無かった…。
…最初は憎しみしか無かったんだ…身代わりとして創られて、運命を決め付けられた。
だから最初は、アルにキーブレイカーとしての運命に殉じてもらおうと思ったんだ…。」

僕はハクアの言葉を遮った。

「分かった…分かったから喋るな…。」

ハクアは僕の口の前に人差し指を持ってきて、ゆっくりと口を開いた。

「ミルカ…気にしないでね…。確かに未来のミルカがした事は間違ってたかもしれない…。

でも、僕にとってミルカは優しい母親だったんだ…本当に優しくて…。
ミルカ…リフサルを起動させるパスワードは、[ハクア・アラド]…僕の本当の名前…。
スインがガデスを世界と世界の狭間に転移させるから、それと同時にリフサルを起動させてくれ…。」

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