白の世界 (幼少期編)
そんな男達の作る道をすたすたと通り抜ける
一つの扉の前に立った時男は口を開いた
「ここ、俺んちに繋がる部屋な」
何を言っているのかはわからなかった
そもそも、私の返事などは求めていなかったのだろう
男はこの家に不釣り合いな、
和風のこの家には似合わない、洋風な、
洋風なとは言っても王室にあるような豪華なものではないが、
まあ、その扉を引いて中にはいる。
そこで、この男が"俺んち"と言った意味が分かる
今まで和風だった家が、この扉を潜ると普通のマンションのような雰囲気に変わった
なぜ?という疑問は直ぐにこの男によって解決された
「ここは俺が結婚する時に増築してもらったんだ。
まあ、俺とマイハニーの愛の巣ってとこだな」
扉を開けるとそこはリビングのようで、大きめのソファとこれまた大きめのテレビが目立つ場所であった
大きなソファには黒髪の女の人が座っていた
「あら、まだ12時も過ぎてないなんて、
今日は帰りが早かったの…ね…。」
彼女の手に持たれていたマグカップがゴトンッと床に落とされる
幸いにも中身は飲み終わったあとのようだった
マグカップはフワフワの絨毯に包まれ割れはしなかったが、ぽつんと寂しそうに倒れている