白の世界 (幼少期編)
私はフカフカの絨毯に座らされる
男と女もソファではなく、私のすぐ近くに並んで座った
「おい、お前。名前は?」
名前。
「…」
「…。まあ、いいや。先に俺からな
俺は日比野 隆二ヒビノ リュウジだ。」
「私は、リュウの妻の静香シズカよ」
男はリュージ、女はシズカと言うらしい
「私は…。」
「おまえ、名前ねぇのか?」
違う
「分からない…だけ。」
シズカは「まあ、」声を漏らす
仕方がないではないか。
私は、要らない存在なのだから
たぶん。名前はあるのだと思う
だけど、その名を呼ばれたことがないから私は自分の名を知らない
それは、おかしな事だろうか。