白の世界 (幼少期編)
昨日と同じで和風のおうちは独特の雰囲気に包まれていた
すれ違う強面のおじさん達は皆リュージに頭を下げる
それに対してリュージは「おう」と軽く返事をするだけ
そして、決まって頭をあげた強面達は私をみる
しかし、その視線は昨日とは違った
どこがどう違うというのは説明出来ないけど、
なんというか、皆暖かい雰囲気になるのだ
先程はリュージの背中側から強面達が手を振ってきたのが見えた
それにどう返せばいいのかわからなかった
長い廊下がやっと終わりを告げた
「ついたぞー」
前を見ると大きな鳥が描かれた襖が堂々としていた
「はは、ここ親父の部屋
趣味わりーだろ?」
だっせーのーと馬鹿にしたように笑うリュージ
でも、それは一瞬でリュージが襖に手をかける頃には表情が読み取ることができなかった
「お頭、失礼します」
たぶん、リュージの真剣な声を聞いたのはこの時が初めての