白の世界 (幼少期編)
長髪の男はこちらに気づくと、プカプカと吸っていたタバコを携帯灰皿に押し付ける
「おはようございます。若」
「おう」
「嬢も、」
「じょー?」
先程からじょーとはなんなのだろうか
堪らずリュージを仰ぎ見る
「嬢ってのは俺が呼ばれてる若と同じようなもん」
ふーん。
正直、若もよくわからん
まあ、リュージと同じような意味なら構わないだろう
そう自己完結させると、いつの間に近寄って来ていたのか目の前には長髪の男の顔
私の前に座り、私と目線を合わせているようだ
近くで見るとこれまた整っているのが分かる
若干藍色に見えなくもない黒くて長い髪を後に束ねて、前髪は綺麗に流している
同じ色の瞳は私を捉える
ふと伸びてくる手に一瞬ビクつかせてしまったが、あまりにその優しい手つきにそれも無くなる
彼は私の、彼とは違う漆黒の黒髪をすくい上げる
「昨日とは見違えるなぁ、
案外、可愛いじゃん」
フッと笑う
「ココロ」
「ん?」
「私の、なまえ。」