白の世界 (幼少期編)
「どうぞ、」
ことりと目の前に置かれた湯のみには何故か紅茶が入っている
「ロイヤルミルクティーだよ。のめるかい?」
マナミのその問に首を縦に降る
ロイヤルミルクティーとは何か知らないが、漂う甘い香りにコーヒーのような、いかにも飲めるはずもないものではないということが確信できた
病院の診察室の様な作りの部屋で、私はリュージの隣の椅子に座っていた
机に置かれた温かいロイヤルミルクティーを少しだけ口に含ませる
キヨハルは先程部屋の外に出ていった
リュージの命令である
「ふう」
リュージにこれまた湯のみに入ったコーヒーを渡すと、自らはペットボトルのオレンジジュースを握りしめてフカフカのソファの様な椅子に腰掛けた
目の前の私やリュージは丸く、背もたれもないような椅子であるのに。
マナミは先程までは細すぎて開けているかもわからないような目をキリッと開け、真剣な目付きでリュージに目をやる
「日比野くん。その子が昨日の娘かい?」
「ああ」