白の世界 (幼少期編)
マナミの瞳には、怒り、怠惰、疑問、、
様々な感情が渦巻く
一方の私の濁った瞳には何が写っているのか
たぶん
何も写っていないのだろう
私に伸ばされたマナミの手に自分の左手をそっと添える
それを予期していなかったからか、マナミの手はピクっと震えた
刹那、添えた左手で銀色のそれを引き抜き
体を捻って右手に入れ換える
左手で空となったマナミの腕を引き寄せ、銀色のそれを持った右手を彼の首元に─先程まで私がされていたように─突きつけた。
その間わずか数秒
ゴクリと彼の喉仏が上下する
その横を一粒の汗が伝っていくのが見えた
「あんたの方が私をなめてる」
未だ私の瞳には何も写っていない