白の世界 (幼少期編)
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「リュージ」
扉を開けた先には、出ていった頃と変わらずリュージが椅子に座っていた
足を優雅に組み、コーヒーを飲む様はまるで、一国の王子のような気品すら感じるが
ただ、その座る椅子が丸椅子で、コーヒーは湯のみであることが少し残念であった
リュージに近づくと、その長い足は解かれ、その大きな手で髪をくしゃくしゃにされた
リュージの隣に私が座ったところで、さてさて、とマナミも椅子へ座る
1口ペットボトルのオレンジジュースをゴクリと飲み、分厚いファイルを再び開いて、言葉を並べた
「えーと。まあ、健康状態っていうか、今は大丈夫っぽいかな。」
「今は?」
「おそらく彼女...ココロちゃんは5歳になったばかりだとおもうんだけど、5歳女児の平均身長・体重共に下回ってるんだよねー」
「原因は、低栄養と活動不足かなぁ。まあ、これからの生活で改善されると思うし、大丈夫でしょう」
「分かった」
リュージはそう言うと私の顔を覗き込んだ
「飯、いっぱい食えってさ」
私はそれに小さく頷いた