白の世界 (幼少期編)
ああ、話を戻そう
彼女の話だったね
そう、日比野 白
彼女は厄介極まりない
彼女が5歳児であることは真実であるが、しかし、彼女の環境は5歳児を育てるような環境ではなかったようだ
先程見せた動きもそう
俊敏に、そして手際よく、僕の手にする施術用ナイフをいとも簡単に抜き去り、あわよくば僕の喉元に突き立てたのだ
およそ5歳児の、いや、普通に育てられた人間の技では無い
つまり、彼女は無知な子供に原子爆弾の投下スイッチを持たせているような
そんな危うさを感じるのだ
それを、その力を使う恐ろしさを未だ知らない
その力がどのようなものなのか知らない
ただ、もっているから使う。でも、使ったあとは知らない
そんな感じ。
まあ、あれだよ。
僕には関係ないことなのだけれど。