ハッピーメリークリスマス【短編】
リュウは小さくため息をついて


「そんなの、花村が勝手に言ってただけだろ。
つーか誘われたけど、断ったから」


そう言った。


びっくりして、思わずリュウの腕から飛び出る。


「なんで?
花村さん、あんなにふわふわで可愛いのに。
あんな素敵な子からの誘いを断るなんて、もったいな」


「あーもう、うっせーな」


私の言葉は、不機嫌なリュウの言葉にかき消された。


「確かに花村は可愛いと思うよ。
女子っぽくてふわふわしてるし。素直だし」


自分で言ったことなのに、龍の口からつむがれると心に突き刺さる。


停電しててよかった、なんて電気会社の人に失礼なことを思ったりして。


目尻に浮かんだ涙は、きっとリュウには見えてない。
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