ハッピーメリークリスマス【短編】
「でも」


リュウはまた息を吸って、何かを決意したような声色で言った。


「俺は、そんなふわふわした子より、ちょっと素直じゃない子のことが好き、だから」


私の目を拭いながら、優しくぶっきらぼうに言ったリュウに、息が止まりそうになる。


泣いてるの、バレてるし。


なんか、なんか恥ずかしいこと言ってるし。


どうしたらいいかわからなくて、目が泳ぐ。


「本当は甘いものが好きなのに、みんなに似合うって渡されたら断れなくて、苦手なブラックコーヒー笑って飲むとことか」


「へ?」


突拍子もないリュウの言葉に、間抜けな声が落ちた。


「実は可愛いぬいぐるみが好きで部屋にいっぱい飾ってるとことか」


「え?え?」


「自分の可愛さに気づいてないとことか」


「………?」


「暗いところが苦手なとことか」


「………っ⁉︎」


「本当は、クリスマスとか、イルミネーションとか、そういうイベントが大好きなとことか」


「!!!」





「全部、好きだよ。アスカ」





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