ハッピーメリークリスマス【短編】
今度こそ、息が止まった。
シンとした、真っ暗な空間に、心音だけが響く。
「リュウの心臓、バクバクいってる」
そう言うと、拗ねたように「うっせ」と言ったリュウが可愛くて、おもわず笑ってしまった。
なんだ、そっか。
なにかがストンと落ちてきて、それから嬉しさがジワジワこみあげてくる。
「アスカがいつまでたっても素直になんねーから、俺が先に素直になってやったんだよ。
感謝しろ」
「そんな言い方してるリュウも、たいがい素直じゃないと思うけど」
でも、そうだよね。
これはたぶん、リュウがくれたクリスマスプレゼント。
だから私も、クリスマスプレゼントをあげないと。
ギュッと、今度は私の腕に力を込めて、リュウの耳に唇を寄せて、たった2文字、ずっと言えなかった言葉を呟いて。
「はじめからそうやって、素直になればよかったのに」なんて言いながら、嬉しそうに笑うリュウの顔が、暗闇の中でもはっきりと見えて。
ああ、やっぱり好きだなぁ、なんて実感して。
「聖なる日の奇跡、だね」
「奇跡なんかじゃなくて、必然だって俺は思ってるけど?」
「ふはっ!リュウらしい!
………メリークリスマス」
「なんだよ、笑うことねーじゃん。
………メリークリスマス」
言い合って、寄り添って。
…*.☆ ハッピーメリークリスマス ☆…*. end
シンとした、真っ暗な空間に、心音だけが響く。
「リュウの心臓、バクバクいってる」
そう言うと、拗ねたように「うっせ」と言ったリュウが可愛くて、おもわず笑ってしまった。
なんだ、そっか。
なにかがストンと落ちてきて、それから嬉しさがジワジワこみあげてくる。
「アスカがいつまでたっても素直になんねーから、俺が先に素直になってやったんだよ。
感謝しろ」
「そんな言い方してるリュウも、たいがい素直じゃないと思うけど」
でも、そうだよね。
これはたぶん、リュウがくれたクリスマスプレゼント。
だから私も、クリスマスプレゼントをあげないと。
ギュッと、今度は私の腕に力を込めて、リュウの耳に唇を寄せて、たった2文字、ずっと言えなかった言葉を呟いて。
「はじめからそうやって、素直になればよかったのに」なんて言いながら、嬉しそうに笑うリュウの顔が、暗闇の中でもはっきりと見えて。
ああ、やっぱり好きだなぁ、なんて実感して。
「聖なる日の奇跡、だね」
「奇跡なんかじゃなくて、必然だって俺は思ってるけど?」
「ふはっ!リュウらしい!
………メリークリスマス」
「なんだよ、笑うことねーじゃん。
………メリークリスマス」
言い合って、寄り添って。
…*.☆ ハッピーメリークリスマス ☆…*. end
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こちらは他サイトで掲載した作品に修正を加えたものになります。
【注意書き】
このお話の中にはウェブ制作会社の話が出て来ますが、
設定や内容等は私の妄想と架空の話ということで
大目に見ていただけると嬉しいです。
ただしあまりにも異なり修正して欲しい場合は
教えていただければ修正または注意書きを
追記します。
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