君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
それからすぐのこと…

ガラガラッ!!

扉を開けて入って来たのは

眼鏡が似合う30代くらいの男の人。

サラサラっとした短い黒髪を

センター分けにしてある。

銀縁の眼鏡、目は細くキリッとしている。

その人は教壇に立ち、

声を張り上げた。

「全員揃ってるかー?」

教室と座席表を照らし合わせながら

首を傾げる。

ん?どうしたのかな?

わたしも心の中で首を傾げた。

「桐生がまだか…」

どうしたもんかなぁ…と呟いたとき

ガラガラッ…

背の高い男の子が入ってきた。

教壇に立つ男の人と

同じ目線の高さの男の子…

すごい大きいなぁ…

一体何センチあるんだろう…

「おまえ、桐生か?」

「そーっすけど…」

無表情で話す男の子は

指された席に歩いていく。

その時、ちらっと見えた顔…

その顔にわたしは見覚えがあった。

!!!!

「あっ!!」

思わず大声を出してしまった!

その声にみんなが一斉にこちらを見て

固まるのが分かった。

…やってしまった。

「おー、いきなりどうした?」

そういう男の人に

わたしは下を向いて答える。

「…い、いえ。

なんでもありません」

めちゃくちゃ目立ってる!

すごく見られてる!!

あぁー!わたしの馬鹿馬鹿!!

そうか?と言いながら

男の人は言葉を続ける。

「今日からこのクラスの担任になる

一条京介(いちじょう きょうすけ)だ。

担当は数学、よろしくな」

その声にわたしは顔をあげて

ジッと見つめた。

いかにも理系って感じ…

なんとなくそう思っていると

左側から強い視線を感じた。

そっと視線の感じる先を見ると…

っ!!!

さっきの男の子…

もとい、桐生くんが

わたしを見ていた。

な、な、なに!?

なんでこっち見てるの!?

…っていうか

今朝のがわたしだって

気づいてる!?

わたしは思わず、

桐生くんに頭をさげた。

そして顔を上げると…

わたしを見つめながら

少し口角を上げて

穏やかな瞳を向けて、笑った。

桐生くんか…

背が高く、さらさらの短い黒髪、

キリっとした切れ長の目、

唇は薄く形が綺麗、

片耳にシルバーのピアス…

モデルさんみたいな容姿だなぁ…

クールな感じだけど、

笑うと優しい顔。

わたしは桐生くんの瞳に

高鳴る鼓動を抑えられなかった…

どうして、こんなに

胸がドキドキするのか

分からない、わたしは

1人、首を傾げた。





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