君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
キミとの距離
先生がクラス委員の仕事について

説明し始める。

「クラス委員は主にクラスの

まとめ役だ。

それから、クラスでの決め事とかの

進行役だ」

「それだけっすか?」

無表情で淡々と聞く、桐生くん。

「まぁ、あとは…

提出物を各教科の先生に持って行くとか

少し雑用もあるけどな」

「そーっすか。分かりました」

雑用ならなんでもいいけど…

クラスのまとめ役とか進行役なんて…

わたしには無理だよ!!

頭を抱えて机に突っ伏したわたし。

「春瀬ー!聞いてるかー?」

っ!?

聞いてます!っと心の中で

叫びながら、コクリと頷いた。

「じゃあ、今日はここまで!

明日のHRから委員決めするから、

よろしくなー!」

えっ…

さっそく仕事!?

そんなぁー…

わたしはまた机に突っ伏した。

そんなわたしに気付くことなく

みんなは続々と帰っていく。

そして教室には数えられるくらいの

人が数人…

おしゃべりをして楽しんでいる。

それをうっすら聞いていると、

頭上から声がした…

「流羽!帰ろ!」

璃子の声にわたしは

突っ伏した机から顔を上げた…

「璃子…」

わたしがなにを言いたいのか

分かっている様子の璃子は、

頭を抱き寄せて背中をさすってくれる。

そして…

「流羽、あたしも手伝うから。

大丈夫だよ!ね?」

わたしが落ちこんだ時や

泣いている時にしてくれる

璃子の抱擁…

こうされると

守られている気がして落ち着くんだ…

「ありがと…」

そこに聖奈ちゃんも加わって

2人でわたしを励ましてくれた。

わたしが落ちついた頃…

3人で下校することになって

下駄箱までやってきた。

そこに、思いがけない人の姿…

桐生くんだった。

ドキドキ…ドキドキ…

桐生くんを見るたび高鳴る鼓動…

今までのわたしにはなかった感情だ。

男の子は怖い存在…

身体の事でいつも、

からかいの対象になっていた

わたしにとって、男の子は

そういうものだった。

だから、わたしから

話しかけたりすることなんて

1度もなかったのに。

どうして桐生くんには

怖いと感じないのか…

ましてドキドキするなんて。

もしかして…

わたし…好きなのかな?

桐生くんのことが…

!!!

その時、桐生くんがわたし達の

存在に気づいて

こっちに歩いてくる。

真っ直ぐわたしを見つめる桐生くん。

「春瀬」

桐生くんの声を聞いた瞬間…

ドキドキ高鳴る鼓動は

速度を増していく。

わたしを見つめる瞳も

低くて穏やかな声も…

好き…

わたしの人生で、初めての恋が

静かに動き出した瞬間だった…
























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