君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
資料室に到着したわたし達…

先生から頼まれたのは、

英語で使うコンポや

リスニング用のCD-R数枚…

授業で使う資料、人数分の35部を

運んで欲しいとのことだった。

わたしが持とうとするものを

全て掻っさらう桐生くん。

手元に残ったのは

数枚しかないCD-Rのみ…

「桐生くん!わたしも半分持つよ!」

わたしは手を出した。

「いや、大丈夫」

わたしの言葉を無視するように

スタスタ歩きだした。

わたしも慌てて資料室から出て

桐生くんについて行く。

「やっぱりわたしにも半分持たせて?」

わたしは桐生くんを見上げて

話しかける。

「いい。俺1人で持てる」

頑なに拒まれると地味にへこむよ…

わたしもクラス委員なんだよ?

そうだ!

何も聞かずに奪っちゃえばいいんじゃ…

わたしは桐生くんが持つコンポに

目をつける。

そして…

手をコンポに伸ばした瞬間!!

「駄目。俺が持つ」

わたしの手が届かないくらい

高いところにヒョイっと持ちあげた。

そして…

いたずらっ子みたいに笑った。

っう!!

その顔はずるいよ…桐生くん。

普段は、無表情なのに

こういう時、決まって

キラキラの笑顔見せられたら、

きゅんと、しちゃうよ!

分かっててしてるなら、

とんだ小悪魔だ!

その日の昼休み…

待ってましたと言わんばかりの

勢いで聖奈ちゃんに詰め寄られ、

中庭のベンチまで連行された。

ベンチでお弁当を食べながら

わたしは昨日の出来事や、

バスケ部のマネージャーを

頼まれたことを

1から順を追って話した。

すると聖奈ちゃんは

あのクールな桐生がねーと

腕を組んで首を傾げた。

「聖奈、桐生と同中らしいよ」

璃子の言葉にわたしは驚き、

聖奈ちゃんを見る。

「そうなの!でも、中学3年間

同じクラスだったけど笑ったとこ

1回も見たことないな」

「えっ!?3年間1度も??」

口をもぐもぐ動かしながら

コクリと頷く聖奈ちゃん。

でも、わたしには普通に

笑ってくれるよね??

心境の変化でもあったのかな?

「だから、流羽にだけは笑ってるから

コレは怪しいって思ってたんだよねー!」

「あたしも!教室でも笑わない桐生が

流羽にだけ笑ってるの見て

ピンときた!」

璃子は普段、勘が働くけど

恋愛関係には、とても鈍い。

そんな璃子でも分かるくらいに

桐生くんの態度は分かりやすいんだ…

「そうなのかな…?

全然気付かなかったよ」

もう!と肩をバシンと叩く璃子。

「流羽ってば本当に鈍感!」

「だねー!」

鈍感ではないと思うよ。

璃子よりはね…

「で?やるの?マネージャー」

聖奈ちゃんがニヤニヤしながら

覗きこんでくる。

「…うん。やってみたいなぁって。

わたしで役に立つか分からないけど…」

「大丈夫!流羽なら出来るって!

流羽は頑張り屋なんだから、

自信持ちな?」

璃子が親指を立てる。

「わたしも応援してるからね!」

「ありがとう…2人とも」

わたしは2人に勇気づけられて

改めて決意を固めた。

出来ないことを嘆くより、

何が出来るかを

考えなくちゃ!










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