君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
その後、天使の森で

今月の中間テストの話や

6月初めにある体育祭の話をして

盛り上がった。

楽しい時間ほど時が流れるのは早い。

楽しいひと時を惜しみつつ、

わたし達は店の前で別れた。

「流羽、璃子!また明日ねー!」

「うん!また明日!」

「聖奈ちゃん気を付けて帰ってね」

2人で帰るホームまでの道、

テイクアウトしたケーキを

眺めながら、みんなの喜ぶ顔を

想像した。

「みんなすごく喜ぶよ!

それに璃子が来ることもね!」

「いやー!人気者は困るねー!

太一をどうイジってやろう…」

真面目な顔して悩む璃子。

璃子はホームのみんなにとって

お姉ちゃんみたいな存在で、

とくに双子の凛ちゃんと蓮くんは

すごく懐いている。

太一はいつもイジられて

ちょっと可哀想だけど…

でもなんだかんだで

仲良しなんだよね。

「ただいまー!」

「お邪魔しまーす!」

ホームのみんなに迎えてもらって

そのあと夕飯を食べたり

トランプや人生ゲームをして

気付けばもう21時を回っていた。

「楽しかったー!愛子さん!

あたし今日泊まってっていい?」

「えっ!?泊まるの?」

「もちろんいいわよー!

流羽ちゃんの部屋に

布団準備しておくわね」

わたしの声を無視して

あっという間に璃子の

お泊まりは決定した。

凛ちゃんと蓮くんは喜び、

太一は…

あー…溜め息ついちゃってる。

太一には申し訳ないけど、

わたしは久しぶりのお泊まりに

ウキウキしていた。

「おじさんやおばさんに

連絡しなくて大丈夫?」

「あー平気平気!

もう連絡してあるから!」

「えっ!?いつの間に!?」

さっきホームから…と

シレっという。

なんという早技!

連絡してるなら大丈夫かな。

そしてわたしはベット、

璃子は布団に寝転び、

他愛ない話をして

久しぶりのお泊まりを楽しんでいた。

すると急に璃子が天井を

見つめながら、トーンを落として

話しだした。

「流羽…あのさ。

これから先、なにがあっても…

あたしも聖奈もそばにいるから。

それだけは忘れないでね」

「えー、どうしたの?急に…」

なにがあっても…なんて

なにか起きる前提みたいで

怖くなるよ…

でも…

2人が居てくれれば

わたしはきっと大丈夫。

「うん!忘れないでおく」

わたしの返事を聞いて

優しく微笑んだ璃子は

すぐに眠りについた。

わたしはカーテンを少し開けて

ベットから見える夜空を見上げて

桐生くんの事を考えた。

明日は、桐生くんの笑顔が

見れるといいな…

あんな苦しそうな顔、

見たくないし、させたくない。

いつか、わたしに

頑張れって言ってくれた

桐生くんに、今度はわたしが…

笑顔にと、強く思った。

おこがましいけど、それが

わたしの本音。

なにが出来るかなんて

分からないし、今日みたいに

変な空気になるかもしれない。

それでも、桐生くんのために

今の自分に何が出来るかを

考え、探す。

きっと、なにかひとつでも

出来ることがあるなら…

精一杯、やってみよう!
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