君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
翌日みんなでワイワイと

ご飯を食べて、楽しい朝の始まりを

幸せに思った…

そして…

プレゼントを受け取る璃子の渋い顔。

そりゃ、そうなるだろうとは思ってた

けど…

「目指せ!寝坊卒業!」笑って誤魔化す。

がっくり項垂れる璃子と

学校までの道を歩く。

2人でホームから登校するのは

小学生以来だ。

あの頃はお互いまだ小さくて

背も変わらなかったけど、

璃子はわたしの背を追いぬいて

今ではわたしより頭1つ分とちょっと

大きくなった。

感慨にふけっていると…

後ろから声をかけられた。

この声…桐生くんだ。

振り返るとそこにいたのは

やっぱり桐生くんで

相変わらずクールな感じだけど、

昨日のピリピリした雰囲気はない。

それが、わたしを安心させた。

「おはよう、桐生くん!」

「おはよ、春瀬」

2人で挨拶を交わしていると

隣から明らかに不機嫌な声…

「ちょっと!あたしもいるんだけど!

あんたは流羽しか見えてないんか!」

「あー…香月も。おはよ」

おまえもいたのかみたいな顔で

挨拶をする桐生くん。

2人の軽快なやり取り…

なんか楽しいな!ふふ…

それに…

3人で歩くこの道は

いつもと違う雰囲気で

すごく楽しい!

「3人一緒の登校、楽しいね!」

わたしが笑顔で話しかけると

「たまにならね!」

「たまにならな」

2人が同時に発した言葉に

わたしは2人を交互に

見遣って、笑った。

「ふふ!声が揃った!

仲良しの証拠だね!」

わたしの言葉に、同時に反応して…

「「仲良くない」」と、

また言葉がシンクロする2人…

「ふふふっ!!

やっぱり仲良しだね、2人とも。

わたしは2人が仲良しで

すっごく嬉しい!」

2人に挟まれながら、

わたしは嬉しくて

ニヤニヤが止まらない。

大切な人同士が

仲良しって、こんなに嬉しい

気持ちになるんだなって思った。

鼻歌でも歌い出しそうだよ!

声が出ないように、両手の指先で

口を覆い隠した。

そっと2人をうかがうと…

璃子は明後日の方向を向いていて

表情が読めない。

桐生くんは…と見上げた。

っ!!!

優しい眼差しで、口元には

笑みが浮かんでいる。

たった1日見れなかっただけなのに

桐生くんの笑顔への免疫力が

低下してる!!

ドキドキが止まらない…

魚のように、口をパクパクさせて

しまう。

顔だって、きっと真っ赤なはず…

見つめ返すことができず、

視線を彷徨わせる

わたしの頭が、温かくなって…

そっと目線をあげると、

その温かさの正体は、

桐生くんの大きな手だった…

さらに、顔が熱くなるのが

分かって、蒸気機関車のように

頭からプシュッーと煙が

出てるような気がする!

そんなわたしの頭を

優しい手つきで撫でる、

桐生くん。

わたしが真っ赤なことを

どこか楽しんでる?

わたしが、ジトッと見つめると

クスッと笑って、頭をポンポン…

ーーー!!!

遊ばれてるっ!!

それが分かってて、

ドキドキするわたしも

わたしだけど…

悔しいっ!!

わたしはその手に

自分の手を重ねてみた。

すると…

目を大きく見開いて

驚いた表情の桐生くん。

ふふふ!

すごく驚いてる!

そっと、手を離して

わたしは、ニコっと笑ってみせた。

桐生くんは、やられた…

みたいな顔をして

眉をさげて笑った。
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