君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
下駄箱に到着する頃には
顔の熱も引いて、
心臓のドキドキも治まりつつあった。
靴を履き替えようと
扉を開けると…
1枚の白い紙が四つ折りになって
入っていた。
「ん?なんか入ってる。
これなんだろう?」
わたしの声に
2人は同時に反応した。
そしてわたしが開こうとした…
その時!
カサッ…
桐生くんがそれをヒョイと奪って
ポケットにしまってしまった。
え…?
わたしは桐生くんの
いきなりの行動に驚いた。
でも…
それよりも、桐生くんの雰囲気が
昨日みたいになってしまったことが、
すごく気になった。
さっきまで、いつもの
桐生くんだったのに。
一体どうしちゃったの?桐生くん…
「部活の連絡網、昨日俺が入れた。
修正箇所あるから直したら渡す」
俺先行くわ…
そう言って桐生くんは1人先に
行ってしまった。
わたしは先に歩き去った
桐生くんの背中を
呆然と見つめていた。
「靴箱に入れるって…
ラブレターでもあるまいし!
ねっ、流羽」
「う、うん…」
そうだね…と言いながら
わたしは桐生くんの行動と
雰囲気に、違和感を感じていた。
桐生くんにそんな顔をさせてるのは
一体なんなんだろう…
せっかくの楽しい登校が
一瞬にして、なくなってしまって
わたしの気持ちは空気の抜けた
風船のように萎んでしまった。
そして…今日もまた
教室までの廊下を璃子と歩きながら
昨日と同じ視線を感じた。
わたしの知らないところで
何かが起きているような気がして
背筋が強張った。
その時…
ぶんぶん手を振りながら
ニコニコ笑って近づいてきたのは
日向くんだった。
「おっはよー!お2人さん!!」
やっぱり尻尾が見える…
笑わないように顔の筋肉に
力を入れた。
「おはよう、日向くん」
「日向、あんた朝からうるさい!」
「えー!朝の挨拶は元気に!
これ俺のモットーなのにー!」
そんなん知らん!…と一蹴の璃子。
わたしは周りの視線を忘れて
2人が言い合う姿を
微笑ましく見ていた。
突き放すような態度だけど
ちゃんと会話をしてあげる璃子と
突き放されながらも
めげない日向くん。
「2人は仲良しだね!」
その声に2人は同時に…
「でしょー!仲良しなんだよねー!」
「どこがっ!日向が懐いてきてるだけ」
声は揃うのに
内容がてんでバラバラだ…
でも本当に嫌なら
目も合わせないのが璃子だ。
だよね?
纏わり付くようにしている
日向くんを、視界に入れたく
ないのか…
日向くんがいる方向とは
逆の方向に、頭を振る璃子。
繰り返し続ける日向くんに
しびれを切らした璃子は、
わたしの手を引いて、
スタスタと歩き出した。
「わわっ!?璃子?
日向くんいいの?」
振り返ると、日向くんは
シュンと肩を落とし、目はうるうる…
あぁ…耳とシッポが見える…
垂れてる!
垂れてるよ!日向くん!
子犬を捨てるような気分になるよ…
わたしは、小さく手を振った。
すると…
シュピーンッと音が聞こえるくらい、
姿勢を正して、ぶんぶん大手を振る
変わり身の速さに、
思わず笑みが溢れる。
教室に入って、手を離した璃子は
「朝からテンション高いっつの!
マジ疲れるわ…」
席についてぐったりする璃子。
そんな璃子を指差し、
首を傾げている聖奈ちゃんと
目が合ったわたしは、
廊下での出来事を話すと…
「ははっ!!そういうことね!
日向は昔からだよ、それ。
懐くとそうなるんだよね…
特に、気になる子には!」
最後の言葉を耳元で囁かれ、
わたしは思わず耳を手で押さえ、
聖奈ちゃんを見た。
そして、わたしから出た言葉は
空気に溶けそうなほど、小さくなる。
「えっ…!?そ、そ、そうなの!?」
コクンと頷いて、笑顔の聖奈ちゃん。
そうなんだ…
でも、そう言われてみれば
璃子を見るたび、日向くんは
綺麗な顔立ちからは、
想像出来ない程の破顔の笑顔だ。
しかも、耳とシッポが見える…
ふふっ!
そっかぁー…
「璃子は、どう思ってるんだろうね?
日向くんのこと…」
ちらっと璃子を盗み見するけど、
未だ、席でぐったりした様子…
わたしの視線を追って、
璃子を見る、聖奈ちゃんは…
「あの様子じゃ、多分…
気づいてないねー。
ただ、懐かれてるって思ってるだけ」
「日向くん、すごく優しいし
璃子ともお似合いだと思うなぁ…
他人には敏感なのに、自分には
鈍感だから」
ねー!と頬杖をついて、笑う
聖奈ちゃん。
たくましく見えても、実はすごく
感動屋で、人のために涙を流す
心の綺麗な璃子。
今までは、わたしの事ばかりに
時間を割いてくれてたはず…
これからは、自分の幸せのために
歩いて欲しい。
そのためにも、わたしも
強くならなくちゃ!
1人で立ち向かえるくらいに…
顔の熱も引いて、
心臓のドキドキも治まりつつあった。
靴を履き替えようと
扉を開けると…
1枚の白い紙が四つ折りになって
入っていた。
「ん?なんか入ってる。
これなんだろう?」
わたしの声に
2人は同時に反応した。
そしてわたしが開こうとした…
その時!
カサッ…
桐生くんがそれをヒョイと奪って
ポケットにしまってしまった。
え…?
わたしは桐生くんの
いきなりの行動に驚いた。
でも…
それよりも、桐生くんの雰囲気が
昨日みたいになってしまったことが、
すごく気になった。
さっきまで、いつもの
桐生くんだったのに。
一体どうしちゃったの?桐生くん…
「部活の連絡網、昨日俺が入れた。
修正箇所あるから直したら渡す」
俺先行くわ…
そう言って桐生くんは1人先に
行ってしまった。
わたしは先に歩き去った
桐生くんの背中を
呆然と見つめていた。
「靴箱に入れるって…
ラブレターでもあるまいし!
ねっ、流羽」
「う、うん…」
そうだね…と言いながら
わたしは桐生くんの行動と
雰囲気に、違和感を感じていた。
桐生くんにそんな顔をさせてるのは
一体なんなんだろう…
せっかくの楽しい登校が
一瞬にして、なくなってしまって
わたしの気持ちは空気の抜けた
風船のように萎んでしまった。
そして…今日もまた
教室までの廊下を璃子と歩きながら
昨日と同じ視線を感じた。
わたしの知らないところで
何かが起きているような気がして
背筋が強張った。
その時…
ぶんぶん手を振りながら
ニコニコ笑って近づいてきたのは
日向くんだった。
「おっはよー!お2人さん!!」
やっぱり尻尾が見える…
笑わないように顔の筋肉に
力を入れた。
「おはよう、日向くん」
「日向、あんた朝からうるさい!」
「えー!朝の挨拶は元気に!
これ俺のモットーなのにー!」
そんなん知らん!…と一蹴の璃子。
わたしは周りの視線を忘れて
2人が言い合う姿を
微笑ましく見ていた。
突き放すような態度だけど
ちゃんと会話をしてあげる璃子と
突き放されながらも
めげない日向くん。
「2人は仲良しだね!」
その声に2人は同時に…
「でしょー!仲良しなんだよねー!」
「どこがっ!日向が懐いてきてるだけ」
声は揃うのに
内容がてんでバラバラだ…
でも本当に嫌なら
目も合わせないのが璃子だ。
だよね?
纏わり付くようにしている
日向くんを、視界に入れたく
ないのか…
日向くんがいる方向とは
逆の方向に、頭を振る璃子。
繰り返し続ける日向くんに
しびれを切らした璃子は、
わたしの手を引いて、
スタスタと歩き出した。
「わわっ!?璃子?
日向くんいいの?」
振り返ると、日向くんは
シュンと肩を落とし、目はうるうる…
あぁ…耳とシッポが見える…
垂れてる!
垂れてるよ!日向くん!
子犬を捨てるような気分になるよ…
わたしは、小さく手を振った。
すると…
シュピーンッと音が聞こえるくらい、
姿勢を正して、ぶんぶん大手を振る
変わり身の速さに、
思わず笑みが溢れる。
教室に入って、手を離した璃子は
「朝からテンション高いっつの!
マジ疲れるわ…」
席についてぐったりする璃子。
そんな璃子を指差し、
首を傾げている聖奈ちゃんと
目が合ったわたしは、
廊下での出来事を話すと…
「ははっ!!そういうことね!
日向は昔からだよ、それ。
懐くとそうなるんだよね…
特に、気になる子には!」
最後の言葉を耳元で囁かれ、
わたしは思わず耳を手で押さえ、
聖奈ちゃんを見た。
そして、わたしから出た言葉は
空気に溶けそうなほど、小さくなる。
「えっ…!?そ、そ、そうなの!?」
コクンと頷いて、笑顔の聖奈ちゃん。
そうなんだ…
でも、そう言われてみれば
璃子を見るたび、日向くんは
綺麗な顔立ちからは、
想像出来ない程の破顔の笑顔だ。
しかも、耳とシッポが見える…
ふふっ!
そっかぁー…
「璃子は、どう思ってるんだろうね?
日向くんのこと…」
ちらっと璃子を盗み見するけど、
未だ、席でぐったりした様子…
わたしの視線を追って、
璃子を見る、聖奈ちゃんは…
「あの様子じゃ、多分…
気づいてないねー。
ただ、懐かれてるって思ってるだけ」
「日向くん、すごく優しいし
璃子ともお似合いだと思うなぁ…
他人には敏感なのに、自分には
鈍感だから」
ねー!と頬杖をついて、笑う
聖奈ちゃん。
たくましく見えても、実はすごく
感動屋で、人のために涙を流す
心の綺麗な璃子。
今までは、わたしの事ばかりに
時間を割いてくれてたはず…
これからは、自分の幸せのために
歩いて欲しい。
そのためにも、わたしも
強くならなくちゃ!
1人で立ち向かえるくらいに…