君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
高校までの道をゆっくり歩く。

道の両側には大きな桜の木が

等間隔に並んでいる。

まるでピンクのトンネルだ。

「きれいだなー…」

少し目線をあげると

桜の薄いピンク色のあいだから

水色の空がのぞいている。

春らしい爽やかな風に吹かれ

桜がひらひらと宙を舞う…

そっと手を出してみた。

1枚の花びらが手に落ちる…

「わあ!ハートの形してる…可愛い」

わたしはその1枚を

そっと生徒手帳にはさんだ。

なにかイイことありそうな予感…

これから始まる新しい生活に

胸が踊った…

でも、同時に不安がよぎる。

もし…わたしの傷が…

足がないことを知られたら…

また、好奇の目と心無い言葉に

さらされるかもしれない…

桜の木に視線を戻し、

ひらひらと舞う花びらを

見ながら、わたしの心は

過去へと、トリップしていた。

そんな考えを頭の中から、

追い出して、わたしは歩いた。

そして、やっと到着した学校を

見つめた。

「わ〜!!すごい!!」

大きな鉄製の門をくぐり抜け

わたしの目に映るのは

大きな建物が3つ。

どこかの国のお城みたい!

すべての建物がアンティークな感じだ。

クリーム色の壁、扉や窓枠は

木製で綺麗な彫刻が刻まれている。

すごく温かい感じ…

まわりの賑やかさが

聞こえなくなるほど

わたしは夢中になる。

桜ノ宮高校…

ここでわたしは3年間過ごすんだ…

目の前の1番大きな建物が

全学年のクラスがある

教室だけの3階建ての本館。

1階の渡り廊下と繋がる本館と

ほぼ同じ大きさの別館。

ここの2階から3階に音楽室や

美術室、調理室などの専門科目の

教室があって、1階のワンフロアが

すべて職員室になっている。

なんて贅沢な空間使いなんだろう…

そして別館の1階にある、本館とは

反対側にある渡り廊下と

つながっているのが体育館だ。

分かってはいたけど…

移動が大変そうだな、これは…

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