君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
午後の部、

最後で最大の盛り上がりを

見せる騎馬戦が

始まろうとしていた。

過去に女の子の怪我人が

多数出た事から、騎馬戦は

クラスの男の子だけが

出場するのが、通例なんだとか…

でも、男の子でも危ないんじゃ…

わたしは

誰も怪我しませんようにと

祈りながらグラウンドのみんなに

声援を送った。

「みんなー!!頑張れーー!!

でも、怪我はしないでーー!!」

その声に周りから爆笑されて

縮こまると、

「女神様ーー!怪我しねぇように

頑張るからなー!!」

グラウンドに立つみんなが

ミサンガを着けた手の

人差し指を空に向けて

応援席のわたし達に

笑顔を見せてくれた。

「絶対無理しないでねーー!!」

わたしの大きな声でさらに

盛り上がりを見せたみんなは

ぶんぶんと手を振ってくれた。

「「「了解でーす!!」」」

わたし達も声援を送りながら

手を振り返した。

ピピーー!!

スタートラインに立つみんなは

さっきまでの

和やかムードが一切なく、

真剣な表情だ。

どうか、みんなが怪我なく

勝てますように!!

そして始まりと同時に

グラウンドの砂が舞い、

その中で、何が起こって

いるのか分からない。

目を凝らしても砂埃が舞って

よく見えないよ!

わたしはとにかく、

ありったけの声で

応援し続けてた。

そして…

ピピピーー!!

終了の合図が鳴り、

段々と姿を現わす人影が

みんなかどうか祈るように

見つめていると…

大きく手を振っている人が見えた。

あれ…桐生くん?

「あ…桐生くんが見える」

わたしは璃子と聖奈ちゃんの

ジャージの裾を引っ張った。

「えっ!?

全然分かんないんだけど…

流羽なんで分かったのよ」

「分からないけど…

なんか光って見えたから…」

首を傾げる聖奈ちゃんと無言で

グラウンドを睨む璃子。

そして砂埃の中から

先頭で出てきたのは

やっぱり桐生くんだった。

どこにいても、やっぱり桐生くんは

キラキラ輝いて見える…

「やっぱりこんなキラキラした人…

わたしには眩しすぎて、無理だよ」

「えっ?流羽なんか言った?」

璃子の声にわたしは首を振る。

「ううん…なんでもない」

そして、その言葉をかき消すように

聞こえたのは…

『只今の競技の結果、

1ーBが勝利です』

実行委員のアナウンスに

応援席のわたし達は抱き合って

歓喜の声を上げた。

帰ってきたみんなは

どこにも怪我はなくて

わたしはやっと大きく息が出来た。

「みんな、お疲れ様でした!!」

応援席にいたわたし達は

大きな拍手を送った。



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