君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
無自覚な彼女〜翼side〜
俺の彼女は、かなりの鈍感で、
自分が可愛いという自覚がない。
俺を含めて、周りの奴らが
可愛いと言っても、
本人は、至って真面目に
首を横に振るのだ。
付き合いだしてすぐの頃から、
可愛さはどんどんと増して、
今では、俺と付き合っていても
彼女に好意を寄せている奴が
いると、大輝が言っていたな…
初めて会った時から、
可愛かったが、
俺と付き合いだしてからは、
更に可愛さに拍車がかかったように
可愛さが増している。
だからってわけじゃないが、
野郎どもの、彼女に対する視線には
気づいていた。
小さくて、可愛くて
誰に対しても濁りのない瞳を向け、
真綿で包むような優しい性格、
いつも誰かの為に動く、彼女。
見返りを求めることのない、
無償の優しさを持つ彼女に、
好意を寄せても納得がいくが、
彼氏としては、気が気じゃない。
そんな事も、彼女は
全く気が付いていないのだ。
そこが、危なっかしくもあり、
愛しくもあるから、厄介だ。
そして、今も…
練習試合に来た俺達の
相手である奴に、話し掛けられて
俺の集中力は散漫してしまう。
明らかに相手は、彼女に
好意を寄せているように
見える。
でも、彼女はまるで気付いていない。
ニコニコと笑う彼女に
悪くもないのに、イライラが募る。
もっと自覚を持って欲しい…
どれだけ、その笑顔が
可愛く眩しいのかを。
誰に対しても、そうだから
表情に出さないのは、
さすがの俺も、限界がある。
でも、誰に対しても
嘘も偽りもない、綺麗な心を
持っているから惚れたんだから
仕方がないが…
相手の奴が、ボールを落とし、
それを彼女が拾う仕草を見せた時。
相手の手が、彼女に伸びそうに
なるのを見て、俺はごく自然に
身体が動いていた。
相手が掴むよりも早く、
俺は、彼女の手を掴み
安堵しながらも、焦っていた。
急に掴んだもんだから、
彼女は小さな身体をビクつかせ、
振り返った。
驚いたのか、大きな瞳を
ぱちぱちさせながら…
でも、安心したように
ふにゃりと微笑んだ彼女。
くそ!可愛すぎだっつの!
この笑顔は俺のもんだろ?
他の奴に見せんじゃねーよ。
どうしてアイツと話していたかを
問い詰めると…
転がってきたボールを
渡しただけらしいが、
その流れで、何で名前を
聞かれるって事になるんだよ。
そんで、なぜ名乗ってんだ!
俺の焦りもイライラも
鈍感で無自覚な彼女は
全く気が付いていない。
ほんと、目が離せねー…
そんなことがあってか、
試合中、俺は集中力が散漫だった。
でも、残り時間僅かの時…
コート内に響いた、彼女の声で
俺の気持ちはゴールにだけ
向けられた。
『飛んで!!』
その言葉に、俺は初めて
彼女と出会った時のことを
思い出していた。
あの時も、俺はこうして
宙に浮いてゴール目掛けて
飛んでいた。
それを見て、キラキラした瞳で
俺を見て拍手してたっけ…
『背中に大きくて綺麗な
翼が見えた』
そう言って。
ゴールから手を離して、
彼女を振り返ると、
やっぱり彼女は、キラキラした瞳で
笑って拍手していた。
この笑顔は、ほんとに可愛い。
反則的に…
試合は無事に勝つことが出来たが、
片付け中の彼女に、
話しかける奴がいた。
またアイツか…
何を話してるんだ?
アイツは真剣は表情で、
彼女は顔を真っ赤にしながら
何か呟いている。
まさか…とは思うが、
告白か!?
焦った俺は、彼女に手を伸ばした。
顔を真っ赤にしながら、
焦る彼女。
何かありましたと言っている
ようなもんだ。
何があったかを聞いて、
あー、やっぱりと思った。
アイツに告白されたけど、
きちんと断った。
けど、諦めないと言われて
優しい彼女は、言葉にはしないが
困った表情で、そう言った。
惚れるのは仕方ないにしても、
彼女のこんな顔を見ていたくない
俺は、彼女を連れて
アイツを呼び出した。
隣で心配そうに様子を見ている
彼女は、意を決したように
俺への気持ちを口にした。
『桐生くんだけが特別』だと…
その瞳は、少し揺れていて
目の前の相手に対して
申し訳ないという気持ちを、
ありありと滲ませていた。
それでも、逸らさずに
俺だけが特別だからと
恥ずかしそうに、笑いながら
断言した。
そして、彼女は小さな手に
力を込めながら、俺を見上げて
微笑んだ。
俺に、不安があるのを
知らないはずなのに、
大丈夫と言うように、
ニコニコ笑う彼女は、
とても眩しくて、愛おしい…
握り合った手を、そのままに
俺も彼女に笑って見せた。
『俺にとっても、春瀬だけが特別』
そう心の中で呟きながら…
自分が可愛いという自覚がない。
俺を含めて、周りの奴らが
可愛いと言っても、
本人は、至って真面目に
首を横に振るのだ。
付き合いだしてすぐの頃から、
可愛さはどんどんと増して、
今では、俺と付き合っていても
彼女に好意を寄せている奴が
いると、大輝が言っていたな…
初めて会った時から、
可愛かったが、
俺と付き合いだしてからは、
更に可愛さに拍車がかかったように
可愛さが増している。
だからってわけじゃないが、
野郎どもの、彼女に対する視線には
気づいていた。
小さくて、可愛くて
誰に対しても濁りのない瞳を向け、
真綿で包むような優しい性格、
いつも誰かの為に動く、彼女。
見返りを求めることのない、
無償の優しさを持つ彼女に、
好意を寄せても納得がいくが、
彼氏としては、気が気じゃない。
そんな事も、彼女は
全く気が付いていないのだ。
そこが、危なっかしくもあり、
愛しくもあるから、厄介だ。
そして、今も…
練習試合に来た俺達の
相手である奴に、話し掛けられて
俺の集中力は散漫してしまう。
明らかに相手は、彼女に
好意を寄せているように
見える。
でも、彼女はまるで気付いていない。
ニコニコと笑う彼女に
悪くもないのに、イライラが募る。
もっと自覚を持って欲しい…
どれだけ、その笑顔が
可愛く眩しいのかを。
誰に対しても、そうだから
表情に出さないのは、
さすがの俺も、限界がある。
でも、誰に対しても
嘘も偽りもない、綺麗な心を
持っているから惚れたんだから
仕方がないが…
相手の奴が、ボールを落とし、
それを彼女が拾う仕草を見せた時。
相手の手が、彼女に伸びそうに
なるのを見て、俺はごく自然に
身体が動いていた。
相手が掴むよりも早く、
俺は、彼女の手を掴み
安堵しながらも、焦っていた。
急に掴んだもんだから、
彼女は小さな身体をビクつかせ、
振り返った。
驚いたのか、大きな瞳を
ぱちぱちさせながら…
でも、安心したように
ふにゃりと微笑んだ彼女。
くそ!可愛すぎだっつの!
この笑顔は俺のもんだろ?
他の奴に見せんじゃねーよ。
どうしてアイツと話していたかを
問い詰めると…
転がってきたボールを
渡しただけらしいが、
その流れで、何で名前を
聞かれるって事になるんだよ。
そんで、なぜ名乗ってんだ!
俺の焦りもイライラも
鈍感で無自覚な彼女は
全く気が付いていない。
ほんと、目が離せねー…
そんなことがあってか、
試合中、俺は集中力が散漫だった。
でも、残り時間僅かの時…
コート内に響いた、彼女の声で
俺の気持ちはゴールにだけ
向けられた。
『飛んで!!』
その言葉に、俺は初めて
彼女と出会った時のことを
思い出していた。
あの時も、俺はこうして
宙に浮いてゴール目掛けて
飛んでいた。
それを見て、キラキラした瞳で
俺を見て拍手してたっけ…
『背中に大きくて綺麗な
翼が見えた』
そう言って。
ゴールから手を離して、
彼女を振り返ると、
やっぱり彼女は、キラキラした瞳で
笑って拍手していた。
この笑顔は、ほんとに可愛い。
反則的に…
試合は無事に勝つことが出来たが、
片付け中の彼女に、
話しかける奴がいた。
またアイツか…
何を話してるんだ?
アイツは真剣は表情で、
彼女は顔を真っ赤にしながら
何か呟いている。
まさか…とは思うが、
告白か!?
焦った俺は、彼女に手を伸ばした。
顔を真っ赤にしながら、
焦る彼女。
何かありましたと言っている
ようなもんだ。
何があったかを聞いて、
あー、やっぱりと思った。
アイツに告白されたけど、
きちんと断った。
けど、諦めないと言われて
優しい彼女は、言葉にはしないが
困った表情で、そう言った。
惚れるのは仕方ないにしても、
彼女のこんな顔を見ていたくない
俺は、彼女を連れて
アイツを呼び出した。
隣で心配そうに様子を見ている
彼女は、意を決したように
俺への気持ちを口にした。
『桐生くんだけが特別』だと…
その瞳は、少し揺れていて
目の前の相手に対して
申し訳ないという気持ちを、
ありありと滲ませていた。
それでも、逸らさずに
俺だけが特別だからと
恥ずかしそうに、笑いながら
断言した。
そして、彼女は小さな手に
力を込めながら、俺を見上げて
微笑んだ。
俺に、不安があるのを
知らないはずなのに、
大丈夫と言うように、
ニコニコ笑う彼女は、
とても眩しくて、愛おしい…
握り合った手を、そのままに
俺も彼女に笑って見せた。
『俺にとっても、春瀬だけが特別』
そう心の中で呟きながら…