君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
自然と流れた涙…

悲しくて、辛くて

流す涙とは、違う。

嬉しくて、幸せと感じても

涙は出るんだと、知った。

この人が何より愛おしい…

ずっとその瞳に、わたしだけを

映していて欲しい。

溢れる想いを止められなくて、

「桐生くんが、すごく好き」

どれだけ言っても足りないくらい。

わたしは、桐生くんが好きだよ…

優しく笑う桐生くんの唇に

自分の唇を重ねた。

「流羽…好きだ。

絶対、離さねぇから」

お互いの息づかいだけが響く

部屋の中で、何度も唇を重ねた。

熱を帯びた舌が、わたしの中に

入ってくる。

「…っん…ん…ふぁ…」

息ごと、飲み込まれるみたいに

重ねられるキスは、わたしの

思考をも絡めとっていく…

そんなわたしを、そっと抱き上げ

ベットに運び、見つめてくる。

「流羽を…

俺のものにしていいか?」

真剣な表情と熱を帯びた瞳に

わたしは、頷いた。

まるで、壊れものをさわるように

優しく触れる温かい手…

背筋がゾクゾクして、身を震わせた。

「…っん…あぁっ…」

安心させるように、髪を撫でる

桐生くん。

ワンピースを脱がされて

下着姿のわたしは、思わず

両手で隠した。

けど…

その手も絡め取られてしまう。

「あ、あんまり…見ないで…

恥ずかしいよ…」

視線を彷徨わせて、小さく

呟くわたしを、愛おしげに

見つめる桐生くん。

「全部見せて、流羽の全部」

そう言って、わたしを

生まれたままの姿にした

桐生くんと、肌を重ねた。

温かいものが全身に

流れこんでくるような、

不思議な感覚に、わたしは

ギュッと縋りついた。

「流羽っ…」

「桐…生、くんっ…」

それは、痛みを伴ったけど、

怖いなんて思わなくて…

温かい痛みだった。

ふと、温かいものに包まれた

わたしは、重い瞼を開けた。

隣に目を向けると、

優しい眼差しで見つめる

桐生くんがいた。

「身体、大丈夫か?」

そう尋ねられた、わたしは

一気に目が覚めた!

身体中が熱くなるのを感じて

わたしは、顔を覆う。

「う、うん…大丈夫…」

覆ったままの手を取った

桐生くんは、クスッと笑って

その手に唇を当てた。

「すげぇ、幸せだ。

流羽とひとつになれて」

優しく笑う桐生くんに、

わたしも笑ってみせた。

「わたしも…すごく、幸せだよ。

つ、つ、翼くん…」

名前を呼んで貰えて、

嬉しかったから…

わたしも、名前で呼んでみた。

すごく恥ずかしいけど、

たったそれだけで、近づけた

気がする…

そっと、翼くんを見上げると

顔を真っ赤にして、目を

瞬かせている。

「不意打ちで、そういう

可愛いことすんなよ」

そう言って、優しく抱きしめる

翼くんの胸に耳を当てると

トクトクと鼓動が早く鳴っている。

「もしかして、嫌だった?

名前で呼ぶの…」

「いや…すげぇ、嬉しい。

距離が近づいたみたいでさ」

あ…同じだ。

好きな人と同じことを考えて

いたことが、すごく嬉しいよ。

「わたしも、同じこと思ったよ

一緒だね」

顔を見合わせて、

静かに笑いあった…











< 73 / 102 >

この作品をシェア

pagetop