君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
翼くんとひとつになって
心も身体も…
更に縮まった気がする。
部活が休みの日は、
時間ギリギリまで、手を取り合って
一緒に過ごした。
水族館や動物園、映画…
夏休み中、翼くんは
色んな所にわたしを連れて
行ってくれた。
そして、わたしは知った。
大切な人と過ごす時間は
あっという間に過ぎてしまうこと…
日常のちょっとした風景が
特別、綺麗に見えること…
想われることが、心を
温かくしてくれること…
お揃いの物を身に付けると
いつも傍に感じられることを…
人を好きになるということが
人を成長させてくれるんだって。
翼くんと出会えたことは、
わたしにとって、
奇跡だなって、思う。
この幸せが、ずっと続くように
わたしは、願った。
夏休みも、残すところ
あと2日というところで、
翼くんから、家に来ないかとの
誘いがあった。
旅行から帰った、家族に
会わないかと…
翼くんのお家に来るのは、
あの日以来だ。
今度こそ、きちんと
ご挨拶が出来る、喜びと
緊張で、わたしは
心臓が口から飛び出そうで、
結局一睡も出来ないまま、
朝を迎えた。
翼くんに迎えに来てもらって
お家に着くまで、
わたしはカチコチで、
指先が氷のように冷たくて…
そんなわたしの気持ちを
察して、優しく包み込んで
くれる大きな手は、
やっぱり温かくて、ホッとする。
「そんな固くならなくても、
平気。
みんな、流羽が来んの
楽しみにしてるから」
そう言ってくれたけど…
それでも、やっぱり緊張しちゃうよ!
そうこうしているうちに、
翼くんのお家に着いた
わたしの緊張はピークに!
ドクン…ドクン…
翼くんに促され、玄関に
一歩入ると…
「っ!!」
玄関で、ご家族全員が
整列して、迎えてくれた。
背がとっても高くて、雰囲気が
翼くんと似ているお父さん。
柔らかい笑みで、ニコニコしている
可愛らしい、お母さん。
翼くんを小さくしたみたいな
晴人くん。
今回は、きちんと
お座りをしている、クロちゃん。
誰もが、わたしを笑顔で
迎えてくれていて…
挨拶も忘れて、見入ってしまった。
「流羽、大丈夫か?」
覗き込んで、声をかけてくれた
翼くんの一言で、我に返った
わたしは、慌てて頭を下げた。
「こんにちは、初めまして。
春瀬流羽です!
いつも翼くんには、お世話に
なっています。
以前は、お留守の時に
お邪魔して、申し訳ありません」
「あらあらー!
そんなかしこまらなくていいのよ!
こんなところで立ち話も
なんだから、上がって!」
ニコニコ笑いながら、わたしの
手を引く、お母さん。
びっくりしながらも、後に続いて
リビングに入る。
そして、リビングに入ると
矢継ぎ早に、質問されて
わたしは、あたふたしながらも
返事をした。
翼くんとの出会いから、
好きなところ、どちらから
告白したかまで…
いつかテレビで見た、
芸能人の婚約記者会見のよう。
ひと通り答えたところで、
お父さんから、突然頭を下げられ
「この間は、晴人を助けて
くれたんだったね。
怖かったろうに…
すまなかったね」
申し訳なさそうに、眉を寄せる
お父さん。
「そんな!頭を上げて下さい!
わたしが勝手にしたことで…」
身振り手振りで説明する。
あの時は、自然に身体が動いて
とにかく助けなきゃっていう
気持ちだけで、突っ走って
しまっただけ。
「あの日、晴人を庇ったせいで
怪我したって聞いたわ…
しかも女の子で、翼の彼女だって
言うもんだから。
本当にごめんなさいね?」
土下座のように謝る、お母さんに
わたしは、立ち上がって
傍に寄り、声をかけた。
「怪我は擦り傷だけですし、
もうすっかり治りましたから。
お気になさらないで下さい!
これでも、わたし強いんですよ」
わたしは、精一杯の笑顔を
みせた。
「流羽は、出会った時から
誰にでも、こうなんだよ。
自分よりも、誰かの為に
尽くしちまうんだ」
わたしの頭に手を置きながら、
翼くんは溜め息をついた。
「そ、そんなことないよ!
わたしは、いつも翼くんや、
周りのみんなに守られてるし、
助けて貰ってる。
尽くされてるのは、わたしのほう
だもん!」
頭に置かれた手を握り、
ご家族が居ることを忘れて
翼くんに詰め寄った。
「自覚がねぇから、
目が離せねぇんだよ」
わたしの手を握り返しながら、
おでこをコツンと合わせてきて、
びっくりした、わたしは
思わず、仰け反った!
「兄ちゃん…
俺達がいること、忘れてねぇ?」
晴人くんの言葉に、
背筋が凍った。
そうだった!!
ご家族の前で…それで…
ちらっと振り返ると、
ヒィーー!?
晴人くんをはじめ、
お父さんもお母さんも、
ニコニコ笑っている。
「す、すすすみません!!」
すっかり、翼くんのいつもの
ペースにのまれてた!!
ペコッペコッと、頭を下げると
「流羽ちゃんは、可愛いわねー!
ほっぺが、りんごみたいに
真っ赤よ!あなた!」
お父さんの肩をバシバシ叩きながら
はしゃぐお母さん。
「本当だな…
今どきにしては、珍しいくらい
素直で可愛いな!
翼が入れ上げるのも頷けるなっ!
ははは!」
お母さんと一緒になって
興奮するお父さん。
この2人から産まれてきたんだよね、
翼くんは…
でも、こんなにテンションが
高いのに、翼くんは
いつも冷静沈着で、ポーカーフェイス。
なんで??
わたしは、首を傾げた。
心も身体も…
更に縮まった気がする。
部活が休みの日は、
時間ギリギリまで、手を取り合って
一緒に過ごした。
水族館や動物園、映画…
夏休み中、翼くんは
色んな所にわたしを連れて
行ってくれた。
そして、わたしは知った。
大切な人と過ごす時間は
あっという間に過ぎてしまうこと…
日常のちょっとした風景が
特別、綺麗に見えること…
想われることが、心を
温かくしてくれること…
お揃いの物を身に付けると
いつも傍に感じられることを…
人を好きになるということが
人を成長させてくれるんだって。
翼くんと出会えたことは、
わたしにとって、
奇跡だなって、思う。
この幸せが、ずっと続くように
わたしは、願った。
夏休みも、残すところ
あと2日というところで、
翼くんから、家に来ないかとの
誘いがあった。
旅行から帰った、家族に
会わないかと…
翼くんのお家に来るのは、
あの日以来だ。
今度こそ、きちんと
ご挨拶が出来る、喜びと
緊張で、わたしは
心臓が口から飛び出そうで、
結局一睡も出来ないまま、
朝を迎えた。
翼くんに迎えに来てもらって
お家に着くまで、
わたしはカチコチで、
指先が氷のように冷たくて…
そんなわたしの気持ちを
察して、優しく包み込んで
くれる大きな手は、
やっぱり温かくて、ホッとする。
「そんな固くならなくても、
平気。
みんな、流羽が来んの
楽しみにしてるから」
そう言ってくれたけど…
それでも、やっぱり緊張しちゃうよ!
そうこうしているうちに、
翼くんのお家に着いた
わたしの緊張はピークに!
ドクン…ドクン…
翼くんに促され、玄関に
一歩入ると…
「っ!!」
玄関で、ご家族全員が
整列して、迎えてくれた。
背がとっても高くて、雰囲気が
翼くんと似ているお父さん。
柔らかい笑みで、ニコニコしている
可愛らしい、お母さん。
翼くんを小さくしたみたいな
晴人くん。
今回は、きちんと
お座りをしている、クロちゃん。
誰もが、わたしを笑顔で
迎えてくれていて…
挨拶も忘れて、見入ってしまった。
「流羽、大丈夫か?」
覗き込んで、声をかけてくれた
翼くんの一言で、我に返った
わたしは、慌てて頭を下げた。
「こんにちは、初めまして。
春瀬流羽です!
いつも翼くんには、お世話に
なっています。
以前は、お留守の時に
お邪魔して、申し訳ありません」
「あらあらー!
そんなかしこまらなくていいのよ!
こんなところで立ち話も
なんだから、上がって!」
ニコニコ笑いながら、わたしの
手を引く、お母さん。
びっくりしながらも、後に続いて
リビングに入る。
そして、リビングに入ると
矢継ぎ早に、質問されて
わたしは、あたふたしながらも
返事をした。
翼くんとの出会いから、
好きなところ、どちらから
告白したかまで…
いつかテレビで見た、
芸能人の婚約記者会見のよう。
ひと通り答えたところで、
お父さんから、突然頭を下げられ
「この間は、晴人を助けて
くれたんだったね。
怖かったろうに…
すまなかったね」
申し訳なさそうに、眉を寄せる
お父さん。
「そんな!頭を上げて下さい!
わたしが勝手にしたことで…」
身振り手振りで説明する。
あの時は、自然に身体が動いて
とにかく助けなきゃっていう
気持ちだけで、突っ走って
しまっただけ。
「あの日、晴人を庇ったせいで
怪我したって聞いたわ…
しかも女の子で、翼の彼女だって
言うもんだから。
本当にごめんなさいね?」
土下座のように謝る、お母さんに
わたしは、立ち上がって
傍に寄り、声をかけた。
「怪我は擦り傷だけですし、
もうすっかり治りましたから。
お気になさらないで下さい!
これでも、わたし強いんですよ」
わたしは、精一杯の笑顔を
みせた。
「流羽は、出会った時から
誰にでも、こうなんだよ。
自分よりも、誰かの為に
尽くしちまうんだ」
わたしの頭に手を置きながら、
翼くんは溜め息をついた。
「そ、そんなことないよ!
わたしは、いつも翼くんや、
周りのみんなに守られてるし、
助けて貰ってる。
尽くされてるのは、わたしのほう
だもん!」
頭に置かれた手を握り、
ご家族が居ることを忘れて
翼くんに詰め寄った。
「自覚がねぇから、
目が離せねぇんだよ」
わたしの手を握り返しながら、
おでこをコツンと合わせてきて、
びっくりした、わたしは
思わず、仰け反った!
「兄ちゃん…
俺達がいること、忘れてねぇ?」
晴人くんの言葉に、
背筋が凍った。
そうだった!!
ご家族の前で…それで…
ちらっと振り返ると、
ヒィーー!?
晴人くんをはじめ、
お父さんもお母さんも、
ニコニコ笑っている。
「す、すすすみません!!」
すっかり、翼くんのいつもの
ペースにのまれてた!!
ペコッペコッと、頭を下げると
「流羽ちゃんは、可愛いわねー!
ほっぺが、りんごみたいに
真っ赤よ!あなた!」
お父さんの肩をバシバシ叩きながら
はしゃぐお母さん。
「本当だな…
今どきにしては、珍しいくらい
素直で可愛いな!
翼が入れ上げるのも頷けるなっ!
ははは!」
お母さんと一緒になって
興奮するお父さん。
この2人から産まれてきたんだよね、
翼くんは…
でも、こんなにテンションが
高いのに、翼くんは
いつも冷静沈着で、ポーカーフェイス。
なんで??
わたしは、首を傾げた。