君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
「春瀬…こっち向いて」

俺の声に

肩をビクつかせた春瀬は、

ふるふると首を振る。

俺は、もっとお前に近付きたい…

だから…

「流羽」

ずっと、そう呼びたくて

仕方なかった愛しい名前。

突然の名前呼びに、驚いたのか

少し力が抜けた流羽の顔に、

俺は手を伸ばして、有無を

言わさぬように、キスで塞いだ。

流羽から漏れ聞こえる、

可愛い声に、俺の理性の

トリガーは、いとも簡単に外れた。

何度も角度を変えては、

流羽の唇にキスを落とし続けた。

重ねるたびに、どんどん流羽の

瞳が熱を帯び、それが

俺をたまらなくさせる。

俺の腕の中で、必死に応える

流羽の力が抜けたとき、

そっと抱き上げた。

ベットに下ろして、

「流羽を…

俺のものにしていいか?」

そう聞いた俺に、流羽は頷いた。

触れるたびに、身体を

震わせて、俺を見つめる流羽は

今まで見たことのない表情で、

俺はのめり込むように、

身に纏ったワンピースに

手を掛けた。

下着姿が恥ずかしいのか、

「あんまり、見ないで。

恥ずかしい」と、

両手で隠す流羽は、

とてつもなく綺麗で、

壊さないように、ゆっくり触れた。

何も身につけていない、流羽の

身体は白くて、柔らかい。

少しでも強く触れれば、

跡がつきそうだ。

肌と肌とが重なり合って、

吸い付くような感覚が、俺の

気持ちを一層高めていく。

流羽の声が、熱が、瞳が、

更に俺の気持ちを攫っていく。

そして…

誰よりも愛おしい流羽と

俺は、ひとつになった。

熱を帯びたまま、俺の腕の中で

スースーと寝息を立てる流羽の

おでこにキスを落とし、

幸せを噛み締めたまま、

眠りについた。

目が覚めると、流羽はまだ

寝息を立てていたが、

少し身じろぎ、目を開いた。

ボーっと俺を見つめる流羽は、

焦点が合ってきたのか、

俺の顔を見て真っ赤になっている。

やっぱ、可愛い…

「身体、大丈夫か?」

「う、うん…大丈夫…」

そう言って、顔を覆う流羽の手を

取って、キスをした。

「流羽とひとつになれて、

すげー嬉しい」

すると、流羽が顔を真っ赤に

したまま…

「わたしも…すごく幸せだよ。

つ、つ、翼くん」

チラチラ見ながら、

俺の名を呼ぶ流羽に、俺は

完全ノックアウトだ。

まさかの名前呼びに、今度は

俺の顔が熱くなる。

「不意打ちで、そういう

可愛いことすんなよ」

手で顔を隠すと、

「もしかして、嫌だった?

名前で呼ぶの…」

不安そうにたずねる流羽に、

「いや…すげぇ、嬉しい。

距離が近づいたみたいでさ」

俺は本音をこぼした。

「わたしも、同じこと思ったよ。

一緒だね」と、流羽は笑った。

ほんとに嬉しそうに笑う流羽に、

俺も笑って見せた。

好きなやつと同じことを

考えてるってだけで、

すげー、特別に感じる。

大げさでもなんでもなく、

流羽だから、

特別に感じるんだよな。

流羽…

お前が居れば、俺は

世界一幸せもんだ。



< 77 / 102 >

この作品をシェア

pagetop