君の背中に見えた輝く翼に、私は恋に落ちました
流羽の世界から、

はじき出された俺は、

香月の誘いを断り自室に

篭っていた。

ほんとは、すげー会いたいけど

俺を見る時の、流羽の少し

不安げな表情を思い出して、

見舞いの誘いを断った。

また誰なのかなんて、聞かれても

何て答えたらいいのか、

どんな顔をしたらいいのか、

俺には分からない。

その時、メールの受信を知らせる

音が部屋に響いた。

送信元は…大輝?

確か、流羽の見舞い行くって

言ってたな…

『流羽ちゃん、元気だったよ!

記憶はまだ戻ってないけど、

翼がいないこと気にしてたよ?

それに、右手の薬指を見て

失くしちゃいけない大切な物が

無くなったって、泣いてた…

記憶がないはずなのに、

不思議だよね?

事故で運ばれた時に、むくみが

激しくてお医者さんが外したらしい

んだけど、さっき流羽ちゃんの

元に戻ったよ。

そんでね、流羽ちゃん言ったんだ。

「これです…

わたしが探していたもの…

よかった、失くしてなくて」って。

ほんとに嬉しそうに笑ってたよ!』

流羽が俺を、気にしてた?

失くしちゃいけないって

泣いたのか?

でも、なんで…

俺のことは分からないのに、

なんで指輪が大切だって、

思ったんだ…

いや、こんな事ばっか考えても

今は仕方ねーよな。

俺と流羽の約束のしるしを

大切なものって思って

くれてんだから。

今はそれで十分じゃねーか!

それに、流羽は生きてる。

例え記憶が無くなって、

俺のこと忘れてても、

俺が全部、覚えてる。

思い出した時、

俺が暗い顔してたら、

流羽は自分を責めるかも

しんねー。

そんな事のないように、

俺はしっかりしねーとな!

流羽を守るのは、俺の役目。

それだけは絶対に誰にも

渡さねーからな、流羽。
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