世明けの星

ここは、ドイツのとある霧深い森と山を抜けた先にある、ブーセ湖の真ん中に作られた人工の孤島。その孤島に建てられた、重犯罪を犯した者たちばかりを幽閉した絶壁の監獄塔”ゲフェングニス監獄”である。

その監獄の中にある膨大な数の独房のうちの1つに、先ほどの被告人はいた。

「さてと」

ふいに、しんとしていた監獄の中に、場違いにも明るい声が響いた。どうやら、この汚穢な小人が発したようだ。発した声は思いの外高かった。
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