世明けの星

「こんなところ、さっさとおさらばしてやる」

やはり、その声は場違いだ。重く、暗い独房には似つかわしくない、前向きで、ひたむきな声色。

「死ぬまで独房暮らしなんて、お願い下げだ」

被告人はにっこりと笑った。やはりそれは、犯罪者には似ても似つかぬ、朗らかな笑みだった。

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