世明けの星
眉のあたりで切ったと思われる短めの前髪は少々不揃いで、どことなく不自然な印象を受ける。アーモンド型の目に、小さめの瞳は、なんとも珍妙な東雲色をしている。
1つ、つり目がちな目が瞬きした。
「ロンメルは今、見ての通り不在ですよ。なにか御用ですか」
軍服の男が眉間にしわを寄せる。「貴様は誰だ。アーネストに娘はいなかったはずだが」
一瞬、東雲色の瞳が笑った。なにか面白いことでもあるかのように、笑った。
しかしすぐに、その気配が消える。軍服の男は、無意識に眉間のしわを濃くさせた。
「アーネストは私の叔父です。5年ほど前から、私がこの家に居候させてもらっているんです」