記憶を失くした少女【完】
「はぁ!?友達!!??」
「姫にする気で連れてきたんじゃなかったんだ?」
友達という意外な回答に、驚いている様子。
「コイツ、友達いねぇから取りあえず紹介的な感じで連れてきた」
「…………………友達がいないってのは余計だから」
「違ったけ?(笑)」
遥輝はそんなことを言いながら、隣にいる私に冗談っぽく笑ってみせる。
「遥輝が萌以外の女子に笑ってる……!!」
「マジかよ。珍しいもの見てしまった」
そんな声がコソコソ聞こえてくる。
あれ?この人あまり笑わないのかな??
私のときは…………まぁ、笑うときは笑うって感じだよね。
「お前、本当に前の記憶ねーんだろうな!!」
大平くんは1歩前に歩き、真正面から私を見つめる。
「ないよ。前の記憶全部」
私もそんな大平くんの目を見ながら答える。
すると、表情や声のトーンからして私の話が本当だと思ったのか、
「………………………………まぁ遥輝が連れてくるならそれなりの理由や気にいる点があるはずだろうし、萌に謝ったら許してやらなくともない!!!」
上から目線だけど、何とか信じてもらえたみたい。
そんな事もあって、入り口に立っていた萌ちゃんに一言謝ると、「確かにあのとき辛かった………。でも、今の綺羅ちゃんは違うんでしょ?なら萌、許すよぉ!」と、優しく微笑みながら許してくれ、なんとかRYUSEIのみんなと和解することが出来た。