記憶を失くした少女【完】
「仲直りもすんだことだし、みんなでカラオケでも行くかー!!!」
「いいねぇ♪萌、ちょうど行きたかったのぉ!」
「ん~、じゃあ行く?その子の親睦会も兼ねて」
「おー!じゃあ、行くか!!」
その後は、謝ったことで気を良くした大平くんの提案で、学校を抜け出してみんなとカラオケに行くことになった。
「ねぇ、遥輝。先生に外出届けとか出した方がいいんじゃ………」
「別にそんなんいらねぇよ。ほら、早く行くぞ」
「えっ、ちょっと………っ!」
職員室の前に立ち止まっていた私を、教室から連れ出したときのように強引に連れて行く。
そして、先に到着したみんなが集まるバイク置き場へと到着した。
「萌ちゃんはもちろん俺だよなぁ♪」
「萌、宇佐くんに乗せてもらうからいい」
「俺?別に構わないよ」
バイク座席の後ろをポンポンとする大平くんを交わし、宇佐くんのバイクに近づく萌ちゃん………(笑)
ここまでくると大平くんがなんか可哀想に思える。
「お前は俺の後ろに乗れ」
バイクのエンジンをつけた遥輝が、私に向かってヘルメットを投げ渡す。
「私バイク乗るの初めてだからそんなに飛ばさないでね?」
ヘルメットを被ると、遥輝の後ろに座った。
「大丈夫。そのうち慣れる」
_____ブォン……!!ブォンブォンッ!!
軽くふかしたあと、勢い良くバイクが発進した。
私は振り落とされないようにと遥輝の腰に回した腕をギュッ……とする。
速いし落ちたらどうしようって思うと怖いのに、不思議とその風を切る感覚が気持ちよく感じた。