記憶を失くした少女【完】
守りたい一心で
【side綺羅】
あれから数日過ぎたが、凌馬さんからあの人については教えてもらっていない。
旭川さんが忙しいから、という口実で上手く交わされているようにも思えるけど………………………………、凌馬さんを疑いたくはないし……。
また旭川さんと会ったときに、直接聞いてみよう。
「…………………って、遥輝どうしたの?」
私はともかく隣にいる遥輝も何だか険しい顔をしているのが気になる。
放課後、RYUSEIの倉庫に集まったのはいいけど、さっきから周りの雰囲気が重いんだよね………………。
「……………………この頃、青雉の動きが怪しいんだよなぁ」
「青雉?」
何だろう?青い鳥?
「綺羅に言っても分かんねぇだろうから、俺が説明してやるよ!」
こーゆうときに、大平くんは助かる!
「青雉は現在県内トップ3位の族の名前で、裏ではヤクザと繋がっているとも噂されてる族。元は蝮……………の生き残りだが、そいつらが結成したのが青雉なんだ」
何だか、その蝮だけ突っかかったけど何かあったのかな?
………………………………あ!蝮って言ったら大平くんが私に話してくれたあのときの、一夜にして消されたという族の名前じゃん!!!
………………ん?っていうかさぁ…………………。
「蝮の生き残りなら、みんな大人じゃない!?」
大丈夫なの!!?力の差というか…………………。あ、でも県内トップ2位の族がもし高校生でないのなら、大丈夫なのか………………。
「ん~………もちろんまだ蝮の生き残りもいるだろうから、大人もいるだろうな。でも、青雉に変えてからは若いやつも増やしたって聞くし、大半が10代だろ。たぶん」
それでも大人と子供の力の差はあると思うんだけど…………………。
「そう心配すんなって(笑)仮にそいつらがRYUSEIに突っかかってきたらぶっ潰してやんよ!伊達に県内トップ1位やってねぇから(笑)」
じゃれるように大平くんは私の髪をワシャワシャ…………とかき乱した。
おかげで髪がボサボサだよ…………。