記憶を失くした少女【完】
だから、私は新しい学校で心機一転して頑張ることにしたの。
もしかしたら、私のことを知っている人がいるかもしれない。
また孤独な気持ちになるかもしれない。
それでも、また1からやり直す。自分の力で。
「それなら良い学校を知ってる。族とも関わりのない平和な学校だ。パンフレットは後日見せるな。蒼坂高校には退学の意を伝えとくが良いか?」
「……………うん」
これでもう、みんなと会うことはきっとない。
これでいいんだ。これで………………。
「取りあえず着替えて今日はもう帰って休め。車で送るから」
「わかった」
頭では整理がついたつもりでも、凌馬さんに返事をするその声はとても弱々しいものだった。