記憶を失くした少女【完】
「意外と緩くて助かった~。厳しい学校だったらどうしようかと思ったよ」
カバンはそのまんまで良いとして~、髪色は………………やっぱり明るめ?黒ってやっぱ暗いよね。金髪に戻してもいいけど、向こうで逆に浮いても嫌だし茶色ぐらいで留めておくか…………………。
「なぁ、綺羅」
「ん?なーに?」
「何でそう平気そうなんだ?あれほど大切にしていた居場所だ。行きたくないって反抗しても構わなかったのに……………」
平気…………………ではないよ。
思い出すと今でも悲しくなって、皆に会いたくなるけど、いつまでもくよくよしたった仕方ないじゃん?
これでも前向きに考えてるんだから。
「1からやり直すのも、中々悪くないんじゃない?」
記憶が蘇り、前の記憶と失った後の記憶を合わせ持つ私が、再び1つの人格として新しく生活するのにぴったりだと自分では思うけど。
「驚くほど清々しい顔をしてるな……」
苦笑いを浮かべつつ、凌馬さんは私の頭の上に手を置くと、髪をクシャッとした。
無理やりこんな事にしてしまったのではないか……と、凌馬さんは思っていたのかもしれない。