記憶を失くした少女【完】
普通の生活
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それから数日後。
入学の話は着々と進み、ついにこの町から2駅にある朝ヶ丘(あさがおか)高校………通称アサガオに、転校する日となった。
指定のセーラー服に身を包み、スカート丈に関しては太もも辺りになるように、巻き上げた。
靴下は黒。いつものカバンにローファー。
ケバくならない程度に、少しだけ化粧をして髪も巻いていこう。
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カバンの中でLIMEの着信音が鳴る。
RYUSEIの人たちのLIMEは削除したから、凌馬さんしかいない。
____〈今日から新しい学校だな。朝の満員電車には気をつけろよ?〉
____〈ありがとう。最近ずっと遅く起きてたから、いつもの生活に戻すとやっぱりキツいね………………。頑張ってくる!〉
カバンの中から携帯を取り出し返事を返すと、鏡の前に立ってセーラー服の襟がおかしくないか確認をした。
制服が違うからいつもの私じゃないように感じる。
「そろそろ出なきゃ……。電車に間にあわないとか嫌だし」
時計を確認すると、余裕を持って家を出た。