記憶を失くした少女【完】
久しぶりに乗る電車はやはり少し緊張する。人は多いし、席には当然座れないし。知らない人ばかりだし………………………………って、それは今から行く学校でも同じことか(笑)
「えー、次の停車駅は~………」
降りる駅名のアナウンスが流れ、停車すると各学校の生徒達が一斉に電車から出ていく。
私も出遅れないように、改札口まで必死にその流れについて行った。
久々のこの駅は、前来たときよりも大きくなっており、知らない土地に来た気分になる。
私の町もそこそこ大きいけど、こっちも負けずといい店が無駄にたくさんあるから、たまに買い物には来ていたが…………………ここまで変わっているなんて。
ICカードで改札口と通過すると、同じ制服の人の少し後ろを歩く。未だに学校の位置分かんないんだよね………………。坂の上だとは知ってるんだけど。
「なに?俺のファン?」
「………………………へ?」
「へ?って………………………俺の後ろをずっとくっついて歩いてんじゃん?ファンの子だろ?」
いきなり声をかけてきたのは、私がおいて行かれまいとついて行っていた人たちで……………………顔の整った背の高い男の人。
カッコイイけど、ちょっと自意識過剰みたい………………。
「いや、違います」
「そんなに恥ずかしがらなくていいって。で?デートの約束??」
「いや、だから違いますって!」
残念なイケメンだ!!!!
ただ、おいて行かれまいとついて行ってただけなのに、面倒くさい人に絡まれてしまった……………。