記憶を失くした少女【完】
頭から落ちていくんだ。最悪死ぬかもね……………………………。なんて思いつつ目を閉じたが、一向に痛みは襲ってこない。
もしかして、即死!!!??
なんて思ってみたけど、違ったみたい。
「心臓止まるかと思った…………………」
この声は遥輝!?
落ちてきた私を奇跡的に受け止めたのは、前から走ってくる遥輝だったそうな。
スゴく焦った顔の遥輝を見たのは2回目かもしれない……………………………。
「ほんと綺羅は気をつけろ!ハラハラして心臓持たねぇよ」
「ごめん…………………」
抱きつく形でキャッチされた体。
こんなに間近だから、遥輝の爽やかな香水の香りが鼻をかすめる。
「遥輝…………………あのね………」
私が何かを喋ろうとする前に強く抱きしめられた。
「やっと捕まえた」
「………………え?」
「………お前が離れていってからずっと寂しかった。追いかけても離れていくし、これからどうしたら良いのかみんなで考えていた」
私があんな態度をとったあとも、遥輝たちは私のことを思ってくれていたんだね………。