記憶を失くした少女【完】
「遥輝たちに何て言ったの!?」
「好きなように言ったけど?」
「それを聞いてんのよぉ!!」
ちゃ~んと、辞めさせないってね♪
「私、萌ちゃんに恨みがないわけではないけどさ、前の萌ちゃんより今の素丸出しの萌ちゃんの方が好きだし、今思えばそれを知れた良い機会だったわけよ」
あれがなかったら、ずっと萌ちゃんの素知らなかったし。
「それにRYUSEIにはやっぱり萌ちゃんの支えが必要だと思ったから、あの日のことは隠したよ」
「……………はぁ?何よ、それぇ……………」
「居場所って奪いあうものじゃないと思うの。険悪な居場所なんて、もはや居場所じゃないじゃん?(笑)」
想像するだけで居心地最悪だし。
「だから仲良くしよ?個人的には萌ちゃんのこと、もっと知りたいし、仲良くなりたい」
「そんな事言ってきたのは、RYUSEI以外に初めてなんだけど………………」
戸惑ってる様子。
それもそうよね。わかるよ。
踏み出すのが怖いっていう気持ちと、信じていいのか分からない気持ち。
「ほら、握手」
右手を前に差し出すと、萌ちゃんは恐る恐る握ってくれた。
これって『いいよ』ってことだよね!!??