記憶を失くした少女【完】
私が凌馬さんとカウンター越しで話をしていると、遠くの席から男の人がやって来た。
「凌馬、その子誰~?」
茶髪で少し長髪のV系な顔をした男の人。
「旭川(あさひがわ)後でカクテル持っていってやるから席に戻ってろ」
「お客にそんなこと言うんだぁ~?(笑)で、その子は?」
そういいながら私の隣に座る。
「可愛い子じゃ~ん♪なに?凌馬の彼女ぉ~?」
「違う。………………コイツは綺羅」
凌馬さんがそういうと、その人の表情が固まる。
「………………………………はい?」
「お前あった事あるだろ?その子だよ」
どうやら私はこの人とあったことがあるようだ。
覚えていないけど………………。
「何があったんだ!こいつ!!!」
何だかすっごく驚いてる。
「ギャルだったやつが急にこうなるのか!?どうゆう心境!!?意味分かんねぇ」
まぁ、でも取りあえず今の私と会うのは初めてだよね?
念の為自己紹介しとこう。
「山田綺羅です」
「………………」
そんな私を見て再び固まる。
そんなに可笑しかった?
「コイツ………性格までイメチェンしたのか!?この間会ったときは『はぁ?うぜぇー』とか言ってたくせに!!」
私……………そんなこと言ってたんだ。
なんか申し訳ない。
「綺羅は色々あって記憶なくしてるんだよ」
「マジかよ(笑)それギャグ??」
凌馬さんの言葉を冗談と思ったらしい。
「本当だよ」
でも、凌馬さんが真面目な顔でそういったものだから、旭川さんは次第に話を理解し始めた。