記憶を失くした少女【完】
取りあえず勇気を出して校門の中へ入り、保健室へ向かう。
保健室の先生には事前に言ってるから、事情はわかっているらしい。
黒髪が逆に浮いてるのか、通り過ぎるときガン見されたり、コソコソ言われたりされ、逆に悪目立ちしてるんじゃないかと思い始めたが、金髪に戻したくないし我慢。
髪染める前までは不良校だって知らなかったんだもん。
まぁ、前の私の髪色見たら分かったんだろうけど、そこまで頭が回らなかったのよ…………。
_________ガラッ。
保健室のドアを開けるが、中は暗くてシーンとしていた。
「あ」
もう一度ドアの前に戻り確認すると『職員会議に参加しています』という札がぶら下げられていた。
それなら入って待っとこうと、私は保健室のソファーに腰を掛け、先生が来るまで教科書を見たりして時間を潰す。