記憶を失くした少女【完】
学校の嫌われもの
次の日。
昨日と同じように保健室で授業を受けていた私は、先生の教え方がいいからなのか、分からなかった問題も次第に解けはじめ、皆がやってる授業に追いついた。
「もうここまで解けるようになったんなら、次いってもよさそうね♪」
先生は嬉しそうだけど、私は正直………………あんまりって感じ。
先に進めば進むほど、クラスに戻る日が近くなるから。
凌馬さんが言ってくれた『味方』という言葉だけで、少しはクラスに戻る怖さがなくなったものの、あんな噂を聞いたからにはやっぱりまだ怖い。
あのとき……病院のときのように、周りから痛い視線を受けるのは嫌だ。
記憶をなくしてもなお、いや、無くしたからこそ、『独り』は怖い。
独りになりたくない。