記憶を失くした少女【完】
周りはそんな光景を見て、クスクスと笑っていた。
「その辺にしといてやれよー!(笑)相手は記憶喪失なんだからよー!(笑)」
そんな野次も聞こえる。
「良人うるさい!どっちにしろアタシらは、彼氏奪われてんだからこーゆうときにやっとかないとね(笑)」
この人たち、私に彼氏奪われたんだ。
それは悪いことをしたな………。
でもさ、そんな簡単に奪われるって可笑しくない?
「本当に愛されてたの?」
つい口に出してしまった。
「は?」
声からも分かるように、いかにも女は怒っている。
そりゃあ、失礼なこと言っちゃったもんね。
まわりは大爆笑してるようだけど、私は全然面白くない。
もしかしたら、私のことを皆受け入れてくれるんじゃないかって、最初思ってたけど、そう簡単じゃないね。