記憶を失くした少女【完】
初めての居場所
次の日の朝。
この教室に来るのは2日目で、まだ少し緊張しながらもドアを開ける。
いつも通りの時間に登校したつもりだったけど、もうすでにたくさんの生徒が教室に集まっており、一斉に私の方に視線が向けられる。
昨日、クラスのギャル達から絡まれてたのと、RYUSEIの人から忠告を受けてたのもあってか、私が教室に入った瞬間、急に話し声がピタリと止まった。
でもそれは一瞬のことで再び話し声が教室に響き始めた。
私もまだ到底慣れない居心地の悪さの中、自分の席へと着くと、1つのLIMEが通知された。
開いて確認してみると、そこに映し出されていたのは凌馬さんだった。
____〈昨日は無事に帰れたか?〉
夜遅かったから心配してくれたみたい。
既読をつけた私はすぐさま返信を返した。
____〈"友達"と近くで会ってね、家付近まで送ってくれたから大丈夫だったよ〉
なったばかりだけど、友達って言っても大丈夫よね?
友達には変わりないんだから。
私が送った数秒に凌馬さんから返事が返ってきた。
____〈なら安心だ。今度、その友達でも誘ってご飯にでもおいで〉
凌馬さんには記憶を失くしてから、友達のことについて話したことはなかったけど、凌馬さんは良い人だしきっと、遥輝を連れて行っても良くしてくれる。
暴走族ってとこがやっぱり私の中でも気になるけど、そのことが気にならないくらい、みんなのこと知れたらいいなぁ。
取りあえず、適当に返信打って………………と。
これでよし!
今度、遥輝をご飯にでも誘ってみようかな。