カッコよくても、いいですか?
「はい、きりーつ」


授業終了のチャイムが教室に響き渡ると、クラスはあっという間にお祭り騒ぎになる。


私はノートと教科書を机にしまうと椅子から立ち上がった。が。


ん…あれ?


何だか胸の奥から熱いものが込み上げてくる感覚に襲われた。


それれ次第に吐き気に変わり、思わず手で口を覆う。


まずい。これは吐く。


「生野さん?大丈夫?」


隣のおかっぱの女子が心配そうに私を見つめている事に気が付いた。


「あぁ大丈夫。でも…保健室に行ってくるから、先生に…」


そう言いかけて慌てて口元を抑えた。 


「大丈夫!?凄く顔色が悪いよ!早く保健室行ってきたほうがいいよ!私が先生に言っておくから!」


おかっぱの女子は青ざめた顔で私の体を支えた。


「わ、悪いね…え、と…藤井さん」


やっとそれだけ言うと、私はよろめく足をぐっとこらえてドアに向かおうとする。


「うん!あと、私は藤川だよ!」


藤川さんは私をドアまで連れていくと、直ぐに先生の元へ走っていった。


私はドアに手をかける。


だんだん視界も揺らいできた。


これはただ事じゃないと、私は保健室へ急いだ。


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