イケメン医師は今日も新妻が可愛くて仕方ない
「ごめんね、真穂ちょっと聞こえちゃった。伊吹兄さんは大丈夫かな?」
そう言う圭人に、結実がサラッと言う。
「伊吹兄さんなら大丈夫でしょ。あの人はポカしてもそれくらい、自力でひっくり返すわよ」
そんな結実と圭人に私は、話す。
「今回最後だからと思って伊吹兄さんの状況が変わったの分かってて甘えた私も悪かったよ。でも、お陰でやっと踏ん切りついたかも」
そう笑う私に、結実なニコッと笑って言った。
「うん、いい顔してるもんね!良かった!真穂がちゃんと気持ちの区切りが付けれて。これでやっと報われる奴がいるからねぇ」
話しながら次第にニヤニヤ笑う結実に、圭人が鋭い声を出した。
「お前、余計な事言うな!」
珍しく焦る圭人を私はマジマジと見つめた。
「なによ、二人はホントに仲良いなぁ」
クスクス笑っていると、ふたりも安心した顔をして言った。
「うん、真穂は笑ってるのが1番だよ」
揃った声で言われて、私は益々笑いが止まらなかった。
私の長年の片想いはこうして、告げることなく終わったけれどなんだかとても気持ち的には清々しかった。
「なぁ、真穂はいつ退院するんだ?」
そう圭人に聞かれたので、先程の診断を伝える。
「さっきの米澤先生には早ければ明日、遅くても明後日には退院だって言われたよ」
そう答えると、圭人が考えてから話し出した。
「じゃあ、来週体調良かったら俺と出掛けないか?」
その提案に私は久しぶりな事に気づいて、笑って答えた。
「いいね、たまには三人で遊ぶ?」
私の返事に結実があっさりと言う。
「真穂、私は行かないからね!圭人と二人でデートしておいで!」
その言葉に近くに自分を見ていた人を知り、私はビックリして振り返ると、圭人が緊張した面持ちで言う。
「そゆことだから、真穂が嫌じゃなきゃ二人で出掛けないか?」
聞いてきた圭人の表情は、少し硬い。
「嫌じゃないよ。一緒に出掛けたいな」
私は柔らかな笑顔で、そう答えた。
それを見て結実が小さく呟いていた。
「この二人がくっつくのも、時間の問題かな……」