イケメン医師は今日も新妻が可愛くて仕方ない
少しの違和感とともに入って来たエコーのプローブ。
すると、私の方のモニターにもエコーの画像が映る。
「ちゃんと妊娠してるね。ほら、ここに居るよ。赤ちゃんも見えてるね」
そこには黒っぽいお豆のような空間に、ポツンと丸い白い影が映る。
「親父、左も映して!さっき掠ったけど」
そう慌てたようにモニターを見た伊吹が言う。
「分かってるよ。現役産婦人科医が見逃す訳ないだろ」
「千花ちゃん。実は、こっちにももう一人居てね。この感じだと膜も綺麗に分かれてるから、二卵生双生児だね」
思わず画面を見ながら口をポカーンと開いてしまった。
「え?双子って事?!」
「そうだよ、千花ちゃん!双子のお母さんだよ。千花ちゃんが不順で気づくの遅かったのかな?今8週目って所だよ。心拍も取れそうだな。音、出すよ」
すると診察室に、リズムの早い音が響いてくる。
『バクーバクーバクーバクー』
早くて力強い鼓動の音が聞こえてきた。
「今のが右側の子ね、次は左の子」
そう、義父さんが言ってまたエコーを動かして左の子を移すと同じように元気な音がする。
『バクーバクーバクーバクー』
「うん、どっちも元気そうだね。おめでとう。ちゃんと妊娠してるよ。それじゃあ診察室に戻ってね」