黄色いレシート
「少しだけ擦りむいちゃったね。だけど大丈夫だよ、家に帰ったらパパが絆創膏を貼ってくれるからね」


女性の優しい声色に、不意に泣きそうになってしまった。


そんなに優しい声で話しかけてくれる人は、明美にはもういない。


その事に胸が急激に痛んで行った。


明美は立ち上がり、少女の髪を軽く撫でた。


「どうも、ありがとうございました」


女性が明美を見上げて再度お礼を言って来た。
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